火山噴火について考える。
先日阿蘇山が小規模噴火した。
噴火が起こると、定番として「もし破局噴火したらどうなるか」「いつ噴火してもおかしくない」「どこどこで火山灰は何センチ積もって交通はマヒ」等々のそれはそれはおどろおどろしい記事が書かれる。あまりに定形様式だから、きっと「火山噴火翌日」「翌週」準備雛形があるだろう。報道機関も商売だから、少しでも無駄をなくすのは合理的だ。
阿蘇山は断続的に噴火しており、爆発噴火も近代でも度々起こしている。いつ何が起きてもおかしくないというのは確かだ。破局噴火も数万年とか10数万年毎に起きており、前回が9万年前とかで、感覚もそれなりに空いている。
だが、言うまでもなく日本は火山列島、どこに行っても火山がそれなりに近くにある。どの火山が破局噴火しても生き延びる場所というのは難しい。生き延びるのが重要ならば火山だけでは無く、地震、津波、洪水、地滑り、等々あらゆる可能性を考える必要がある。あるいは自然以外の災害もありえる。これら全てからの被災を合理的に下げるのは、事実上不可能だ。誰もが危ないと言っているような場所を避けるくらいが関の山だ。
そうは言っても、心情としては火山の麓近くには居住しにくいとも思うが、阿蘇山にしても桜島にしても、或いは北海道のいくつかの火山でも、結構近接した地域にまで人が住んでいるところがある。他に火山からもっと遠くて、住めそうな土地が周囲に無いわけでもないのに、住人は多少灰が降ってきてもいつもの事と涼しい顔で車に積もった灰等を慣れた手付きで除去したりしている。キモが座っているのか、腹を決めているのか、それとも数学的に生きているうちに被害を受ける確率は充分低いとして割り切っているのか、わからない。
火山といえば米国にもしばらく噴火していないものがいくつかあり、その中でも規模が桁違いなのがイエローストーン公園の一帯だ。大体60~70万年毎に大噴火を起こしており、前回が64万年前という事で、それらの分析が正しいとして確かにここもいつ何時破局的噴火があってもおかしくない。だが超富裕層をはじめとして多くの周辺州の在住者も涼しい顔をして数百キロとか1000キロ以内とか、長年住んでいる。大勢の観光客も来る。
計算方法が間違えているかもしれないが、単純に考えると、人生100年(寿命100歳)として、1万年の間にある任意の1年に生きている確率は、100分の1(1㌫)だ。実際の間隔はもっと長そうだから、確率はもっと低いかもしれない(充分過ぎるほど間隔があれば逆に確率は増すのかもしれない)。寿命も普通はもっと短い。そのかわり危険そうな火山は幾つもある。とにかく高々1㌫相当と考えれば、そう当たることもないとも考えられる。地震とか交通事故とか竜巻とか山火事とかの方を心配すべきかもしれない。桜島の住民が気にしないのも合理的とも言える。
ゲイツの家のあるワシントン州やバフェットの本拠であるネブラスカ州、その他大勢の超富裕層がいると思われるカリフォルニアやテキサスなど、アメリカ西部の多くの州は、イエローストーンが大噴火したら被災するから、そこにいる超富裕層は火山の噴火をそれ程心配していないとも考えられる。あるいは、火山というのは予兆がありそうだからイザとなれば対比する暇くらいは何日か何週間かわからないけれども、あるだろうと考えているかもしれない。わからない。
俺としては、隕石衝突とか破局的火山大噴火とか、まぁ大地震とか、温暖化で海面上昇とかもそうかもしれないが、考えてもしょうが無い(避けるための努力や費用が報われなさそう)という事で、精々自治体の危険度地図を参考にするくらいにして、自分の心配資源を他に回そうと思う。どうだろうか。