
インフレと米騒動について考える。
今更だが、日本では様々な物価が上がり続けている、すなわち「インフレ状態」が続いている様だ。特にコメ価格の上昇で日本中大騒動、連日価格や備蓄米の詳細が報道されてもうしばらく経つ。
若い人は最早コメをあまり食べないとか、その上全世代での食事の西洋化とか、そもそも政府の政策として減反とか、コメの需要縮小は長年確実視されていた。
それにも関わらず、それが真実では無かったのか、それともそれ自体は真実だが食料政策に大失敗したのか、あるいはその両方なのか、はたまたそのどちらでも無く「どこかの闇の勢力」が価格操作しているのか、俺に真実は分からないが、とにかく店頭で同金額で買えるコメの量が過去と比べて著しく少ないらしい。
怒られてしまうかも知れないが、コメの価格が高騰する事自体は、俺自身はどうとも思わない。良いこととも悪いこととも言えない。食費に余裕が無い人達には確かに大変であるが、コメに限らず、ガソリンも、電車賃も、医療費も、「値段が付く」対象は、何から何まで需要と供給で起こる価格変動は資本主義、自由経済の道理だ。
個人的には、コメの価格は低すぎと感じる。20年、30年と価格がそれ程変わらない事自体が異常だ。卵も「物価の優等生」とか言われているが、長期間あの価格なのは普通ではない。
それはいいとして、インフレ状態というのは単に「貨幣の価値が下がった」という事だが、この数ヶ月は「コメにそれが及んだ事象」がなぜか、メディアで盛んに取り沙汰されているだけで、基本は様々なモノやサービスとの交換相場が円の価値下落の方向へ動いている。従って株式、食料、資源、労働対価、交通費、社会保険料、全て上がっている(あるいは上がる予定だ)。
要は全方向で円の価値が下落している(と思われる)。
ではなぜここ数年少なくとも「円」の価値が相対的に下がる傾向にあるのか?
日本の少子高齢化とか、金融緩和の影響とか、多額の赤字国債とか、その他様々な説明は付くかもしれないが、俺にはどれが正解なのか分からない。もっといえばどれが正解なのかは俺にとっては少なくともあまり重要ではない。これという正解などは無いのかもしれない。わからない。
では円安局面に於いて、何が一体重要か?
それは、「円」の価値が中長期の下落傾向にあるとした時の、その(自分の)資産に関する対応策である。インフレの資産への影響に比べれば、普通の人や投資家にとっては「コメはどこで安く買えるか」は大変些末な問題だ。
つまりもし円安になるとすれば、自分の資産防衛をどうすべきか、あるいは資産伸張の機会があればそれをどう利用できるか、資産以外にも自己投資(勉強や習い事など)もどう変化するのか、そういった「準備」をしておくのが、合理的な対処と考える。
もちろん今後円相場やインフレの度合いがどうなるかなどは、分かるはずがない。よって、どちらかに全賭けせず部分的に資産運用することになる。円とドルで半分ずつにするとか、あるいは株、金、不動産、暗号通貨、等などの「種類の違う資産」に分散する。どこにどう分散するかは各自の責任となる。
こう考えると、まず「円建て銀行預金(郵便貯金)で(ほぼ)全資産を持つ」のは、「ハイリスク」な「投資」になってしまう。なぜなら、円の価値が維持されるか上がれば良いが、下がると全財産が目減りしてしまう危険性があるからだ。預金額では同じでも、それで買える食料やガソリンや日用品が少なくなっていれば、資産が減っているのと同様だ。
また、人生設計として、現在の貨幣価値や利息等を、長期計画の「前提条件」として考えるのも危険性がある。
例えば住宅ローンは種類によっては大きく金利が上昇する可能性があるので金利想定が甘ければ、インフレが想定以上に進行すると支払い額増加に収入が追いつかない可能性がある。また、生活費やローン支払いに利息等をアテにしている場合はインフレで計画に狂いが生じる可能性がある。銀行利息より物価上昇の方が早いのが普通だ。
だが、よく考えてみると、このような「資産配分の分析」はインフレ局面に限らず、その反対のデフレ局面でも同様に重要なのが分かる。上記インフレ想定時に危険度が高くなるものは逆に危険性が低くなり、それ以外は逆に危険性が高くなるのかも知れない。分からない。とにかく、準引退を宣言したバフェットの様に「とにかくアメリカ、アメリカ経済、アメリカ企業がどこより良い投資先、ドルもまだしばらくは基軸通貨」としてそれらに集中投資して超長期間投資するという余裕が無い限りは、常に経済状況良く見極めて、資産運用を考えるのが良いようだ。どうだろうか。