凡人 (求職中) の素人視点なので、真に受けず、疑って読んでくれ。
唐突だが、大企業優遇や富裕税の話題になると、必ず「税制等を厳しすぎると海外に逃げてしまう」という反論がある。一方、富裕税を政策としている政党は、「海外逃避なんて実際どれ位の人がやれるのか、実際難しいだろう」とタカをくくっているようだ。本日はこれを考えてみよう。
というのも、俺は一応投資家で少しだが資産を持っている。日本の議論が俺に当てはまるとは限らないが、まぁ一般的な議論として、仮に当事者になるとどのような影響があるか、考えるのは有意義かもしれない。自分の事だから、真面目になれる。
資産家個人の前に、大企業ではどうだろうか。俺は大企業当事者じゃ無いけれども、投資家として考えるのは意味がある。
だが、大企業はもうすでに結論が出ている。当然、海外に出ていく。なぜならそれが合理的だからだ。仮に税金以外の条件が同じとして、国内より税金が低い国や地域があれば、国外脱出を考えるのが自然だ。業績を注視する株主からしても当然の判断だ。統計なんかは各自調べてほしいが、「産業の空洞化」は長年おなじみのお題目だ。逆説的だが、「不利な条件」がハッキリしているのに、対抗策を何も考えない(この場合は何があっても国内に留まる)というのは、個人にしても企業にしても非合理的なだけでなく、不自然だ。
もちろん税制の問題だけでは無いが、是非は別として、政策によって国内に産業を残せなかったのは事実だ。とにかく企業は海外に逃げる。そして一度出て帰って来た企業も殆ど無い。
お叱りを受けるかもしれないが、日本は他の条件が著しく劣っているため、逆に言えばより一層の税制等の優遇措置(あるいは税制でなくても何か巨大な動機づけ)でも無いと大企業が来てくれたり国内に留まり続けるのは難しいだろう。だがそれを目指すべきかどうかは国民が決める。
次に、個人の超富裕層はどうだろうか。
自ずと答えが出ている。東南アジアその他に日本の資産家や有名人の(一部の)脱出現象の報道もよく見る。理由は様々だが、大雑把に言ってそれら脱出先が「超富裕層が相対的に優遇されている得」の方が「移住の手間などの面倒」を超えているからだ。つまり日本がそれらの地域より税制等で今より一層不利になれば、普通に考えて海外逃避が増えるんじゃないだろうか。移住の気を起こさせない、損しない程度に優遇度を調整すれば良いのかもしれないが、その程度で社会が変わるほど富裕税収が増えるだろうか。そもそもそんな絶妙の調整ができるか。
さて、上記の通り、一般的な大企業や超富裕層はドライに判断してさっさと出ていきそうだというのが俺の考えだが、仮定の話として、超富裕層をまだ目指す段階にすぎない、俺自身はどうか。
先日投稿でも書いたが、今言われている程度の富裕税、富裕層政策では、あまり変わらないので、逃げる必要はまだ無い。だが、企業でも個人でも必ずそこには(逃避の得)>(移住の面倒)となるしきい値がある。そこを超え損得が無視できない程度になれば、当然、移住移転は考慮に入れるだろう。自分にとって逃避は非常に現実的だ。
つまり全体の結論としては、海外逃避は既に起こっているし、国内に残る方が得になる状況にで無い限りは、これからもどんどん発生する。
しかし、大企業が国外に出ていったり、超富裕層が海外移住したからといって、その後絶望的状況が確定では無い。それどころか、案外「あーこれで威張っている嫌なヤツラが一掃された。気分がイイ。これからは残った中小企業と一般層の人達だけで、慎ましくやっていこう」という社会になって意外な方向へ発展するかもしれない。だが発展すると必ず大きくなる企業が出現したり、新たな資産家が出現する。とにかくどうなるかわからないが、方針を決めるのは国民だ。どうだろうか。