
日本の暗黒世界度について考える。
いきなりだが、先日、とある回転寿司チェーンの、宮崎のとある店舗で、アルバイト従業員など非正規の労働者が賃上げを求めてストライキを敢行したが、近隣の店舗から正社員の従業員が集まってきて、当日件の店舗は普通に営業し、店舗前でストライキ中の人々は来る客に「店を利用するな」とも言えず、なんとも無意味な活動になってしまったことを憤っていた。
抗議側の主張は店舗ごとで決められるアルバイトなどの時給が場所によっては低すぎるといった感じであった。
経営側、正社員、非正規、利用者、それぞれの立場や言い分についての是非はこの際どうでもよい。俺のようなゲス人間にとっては解決法がわかるはずもないし、そもそも解決法があるのかも不明だし、利害関係者同士で合法的に取り決めてもらうしかないとしか言いようがない、と言ったら左巻きの人達から怒られてしまうだろうか。
家の近くの店舗でよく利用するならば少しは考えるかもしれないが、そうだとしてもやはり静観するしかない。そしてどのような結果になろうともそれを受け入れるしかない。実際妙案は無いし、やはり正直に吐露するとどうでも良い。
それはいいとして、ネットの記事で件の「ストライキ側」の意見として、以下のような物があった。
物価高で生活が苦しい。会社は原価率が上がっているというが、価格に転嫁すべきで賃金で調整は容認できない。
大変結構な意見だ。経営側でなければ、反対する人はあまり居ない。
だが、この発言(要望)に俺は屁理屈で考えると奇妙だ。経済学では良く知られた状況なのかもしれないが、俺は門外漢なので大真面目に書くと、この発言は再帰的側面があり、つまり困っている要因の一つは「物価高」であるが、要望である「価格への転嫁」はその要因である「物価高」を引き起こす。
Aという要因で困っているから、問題解決のためにAをもっと起こしてほしい
と言っているのと同様だ。見方によるが、矛盾しているという解釈も出来る。
なぜこのような事が起きるのか。
人口減少、少子高齢化、戦争、円安、気候変動、経済の地球規模化(グローバリゼーション)等など、要因は色々あると思うが(世界の問題の多くはこれらの複合要因だ)、日本特有の減少として
モノとサービスに払う金を、客がケチりすぎている
というのがあるだろう。言い換えると
金をもっと払う代わりに、もっと良いモノやサービスを求める
という方向ならば、同じ循環でも途中で技術革新などの打開が起きたりして好循環の希望もあるが、日本ではそれより
モノやサービスは同じで良いから、価格を安くしてほしい
という「清貧倹約縮小」思考が強い、というか囚われている。それに加えて
熟練、単純に関わらず、手間のかかる作業や処理にあまり価値を見出してない
というのもある。なぜなら、小売り店員、運輸労働者、医療従事者、ありとあらゆる業種の実質の給料が長年、それ程上がっていない。
それどころか、モンスターと化した客等が労働者とその労働を蔑む(価値を見出さない)ような事件(トラックドライバーにタダで荷下ろしさせたり何回も再配達させるとか、教師の放課後活動のボランティア精神を要求するとか、サービスで残業させるとか)は日常茶飯事だ。労働の対価が低く見積もられている。
こう考えると各論では件の報道に於いて、ストライキ側の言い分に一理あるが、総論では日本全体が上記のような状況であるから、ストライキ側も普段は「ネットショップの運送料が高い」とか「〜が10円値上がりした、もう買わない」とか他では息巻いている可能性がある。日本全体だとお互い様だ。
最近はこれに加えて、「海外からのモノやサービスへの(相対的)高評価」が日本経済に影響を与えている。海外客相手の商売に関わる人員など一部報酬に好影響かもしれないが、円安と合せ国富の目減りに繋がる可能性もある。
とにかく日本社会は上記の通り「より良いモノやサービス」より「より低い価格」が優先されるから発展性に乏しく、また低価格といってもゼロ以下には出来ないからこの先に出口もないのでどうしようもない。
ではどうすれば良いのか?
原因が本当に「モノやサービスの低評価」であれば、解決は単純でその反対をやれば良い。つまりインフラを維持してくれている労働者、店頭や学校や医療等で表に立つ労働者、物流を支える従事者、その他賃金労働者の多くに感謝して優遇して報酬を弾む事だ。
ところが最近急?にその「労働者自体」が不足してきて報いたくても、出来ないかもしれないらしい。お金をもっと払うからと言っても、需要が多くてどうしようもないとかいう現象が日本全体に起き始めている。先日も外国人であふれるスキー場で外食できる場所が無いという報道を見た。最早労働者に感謝したくても相手が居ない可能性もあるのだ。暗黒世界だ。どうだろうか。
全て、個人の意見だから、自分でもよく考えてくれ。
投資は自己責任。言動は自分の思考で。ではまた