凡人 (求職中) の素人視点なので、真に受けず、疑って読んでくれ。
今更だが、移民政策について話題になっている。
本日は移民政策を純粋な経済問題として考える。日本の文化が失われるとか、治安への影響とか、教育その他の法整備が世の中の変化を反映していないとか、他にもたくさん心配はあるが、それは置いておく。
日本は賃金が安いとか、成長していないとか、人々の内向き志向とか、失われた何十年とか、嘆かれ続けて久しい。
原因は色々だが、移民を「安い」労働力として考える政府や国内企業の影響は無視できない。特に日本人が敬遠しやすい職種では、素人考えかもしれないが、本来は働き手がいなければ賃金が上がっていずれ労働需給が成り立つが、依然として低賃金で働く外国人が多い事もあり低賃金状態が維持されると考えられる。また、国内企業がそのような「費用削減」思考に陥るのは、消費者の縮小倹約傾向に影響されている。賃金を上げてサービスや商品値段に転嫁すると消費者に受け入れられず、競争に負けてしまうと考えているからだ。
それでは外国人労働者は安く使われ続けて、会社の業績も上がりにくいし、それ故日本人の給料も上がらない。国全体でも成長しない。低価格や節約を賛美、逆に言うと成長を含む活発な経済への忌避、あるいは現状維持を煽る勢力のおかげ?なのか、誰得状態なのになぜ日本人はこのような縮小思考に陥り続けているのか。難しい問題だ。
だが、超富裕層を目指すほどの資産家や、生活にある程度の余裕がある、乃至あまり困窮していない人達にとって、理想郷だ。理想郷は言いすぎかもしれないが、少なくとも低価格の良さを格段に享受しやすい。
なぜなら、そういう人達は元々余裕があるか、もしくは収入がある程度ほぼ保証されているから、よほどの社会の崩壊が起きて自身に火の粉がふりかからなければ、賃金がどうなろうが、無成長だろうが、経済縮小だろうが、生活には一応は困らない。それどころか、経済縮小思考、経済縮小状態が続く限り、「モノやサービスの低価格化」の恩恵を受け続けられる。モノやサービスが安くても給料も同様に安いから消費をなるべくせずに、あるいは全く買わずに倹約を強いられる人々を後目に、効率よく消費放題だ。仮に消費しなくても、お金の価値が上がっていくわけだから、何もしなくても実質的に得していく。
おまけに多くの人々はお金を使わずせっせと貯金、その資金は縮小経済下では行き先がないから、金融市場で使われて株価を上げる。少なくともそのような圧力の一要素となる。お金持ちは安いモノやサービスを享受しながら、株などの資産が増えてしまう。従って、金持ち等が低価格状態を維持しようとするのはある意味合理的だ。
だから、現在の、この程度の状態維持前提で、「経済成長はもう必要ない」とか、「倹約して生活しましょう」とか言う人達は、そういう勢力の可能性がある。もしそうじゃなくても、超富裕層や資産家の立場を代弁している可能性があるから、要注意だ。余裕がある人達にとっては、穏健な縮小状態の経済は居心地が良いから、継続させようとするのは合理的だ。
だが、逆に変化を恐れずに成長を重要視して、低賃金で外国人労働者を雇うのでなく、高賃金で国内労働者を使い、費用の価格への転嫁を「倹約への悪影響」でなく、「経済成長の結果」として受け入れて、外国人労働者も同等の賃金で働いてもらい、全体でお金を回した方が合理的じゃないか。それでも結局超富裕層は儲けるかもしれないが、全体が儲けているから、超富裕層「だけ」が高笑いするよりはマシだろう。どうだろうか。