一凡人 求職中の素人視点なので、真に受けずに疑って読んでくれ。
突然だが、報道によると、北関東で、電車で、優先席に寝転んで喫煙していた男が、注意した学生に対し逆上し、大怪我を負わせるという事件があった。
学生の方は気の毒と言うしかないが、このような事件はよく起こる。公共の場所、公共交通機関等では、資源が限られているので、利用者同士の利害が争いに発展しやすい。優先席で喫煙は問題外であるが、最近はマスク等感染症により常識が変化してきており、このような諍いが起こり易いと言える。
俺は別に危機管理の専門家とか武道の経験があるとかでは無いが、家族や友人等が巻き込まれた場合は別として、自分が公安とか警察関係者でなければ、このような危険人物が目に入った場合、唯一の合理的な対処は、その場から即座に離れることだ。留まって無視も良くないし、まして積極関与は非合理的だ。電車内だと編成によっては逃げ場もないかもしれないが、なるべく離れるべきだ。
自分でも分かっている積りだが、その場合の対処を自戒を込めて本日は考えてみる。自分独りで行動中の前提だ。
まず、説得を試みるにしても、成算が無い。
なぜなら、まず説得というのは相手にもある程度の理性があるとの仮定に依存している。そんな確証はもちろん無いし、理性があっても、泥酔状態であったり場合によっては薬物や自暴自棄などで通常の精神状態では無いかもしれない。件の事件では、最初喫煙を注意したらしいから、理屈を使って説得しようとしたということだ。電車内で寝転んで喫煙している時点で理性が破綻状態にありそうだ。というか超要注意の危険人物だ。とにかく相手に理屈が通用する保証はない。理詰めで行くと、却って逆上させる恐れもある。
また、退避できるのに、自分の意思で正義感とか倫理観で解決しようと関わっていくのは、もし他人を助けるためであっても危険だ。
なぜかというと、相手がどんな人間か、分からないからだ。自身に柔道経験があっても、向こうはオリンピック強化選手かもしれない。スタンガンを持っていても向こうはマシンガン所有かもしれない。体格に差があっても戦闘力は分からないし、もしかしたら周囲に仲間がいるかもしれない。あるいは爆発物や危険物を持っているかもしれない。背後に恐ろしい人物が居るかもしれない。とにかく単純正義感で立ち向かうのは危険すぎる。
日本では危険人物対処の専門家は警察だが、例えば立てこもり事件等で、しかも人質がいなくて、犯人も1人だけで警官1000人で取り囲んだとしても、突入するのは相手側の武器や戦力を慎重に精査して、尚且つこちらの安全を最大限に考慮し、尚且つ煙幕などで相手の行動力を封鎖して圧倒的人数で制圧する。被害が出たら現場の警察官僚の責任が問われて出世に響くからなのかもしれないが、理由はどうあれとにかくプロがそこまで慎重なのに、市井の一市民があまり考えないで関わるのは危険だ。
そして、恐ろしいのが、結果として生じる影響が、好ましくない可能性だ。
他人を助けて、お礼も言われなかったくらいであればまだ良いが、(とはいっても上記の危険を顧みない行動の結末ならば危険のみの行動となる)物理的に接触があった場合、対象人物に(思わぬ)被害が出る可能性もある。向こうには手強い弁護士が付いていて、訴えられるかもしれない。現場の局地戦で戦術勝利しても、戦略的に法廷で勝てるかは無関係だ。
あるいは、周囲の第三者に思いがけず影響が出て、責任を問われるかもしれない。現代では誰かが動画を撮っている可能性も充分ある。撮り方によっては、戦闘で圧倒したのに、近くにいた無関係な人も怪我をしたり、動画の見え方によっては自分の方が相手を痛めつけて、悪い人に見えるかもしれない。とにかくどうなるかわからない。危険すぎる。非合理的だ。
世の中にどれだけ、徒手空拳で相手を圧倒しつつ、手加減して自分も相手もほぼ無傷で制圧できる人間がいるだろうか。漫画や小説や映画などではよくあるが、実際はめったに無いと思う。
しかも、もしそのような超人能力を発揮してその場を収めたとしても、恨みを買うかもしれない。その場の戦闘力があっても、その後、社会的に嫌がらせを受けて、それには無力かもしれない。
という事で、一切関わるべきでは無い。しかし、このような報道では決まって「周りの人は助けてくれなかった」とか「近くにいた通勤客は無視を決め込んでいた」とか「現代人の冷たい無関心主義に毒されている」的に、その場に居合わせただけの人が悪者にされがちなのだ。そういう人達もいざ現場に居合わせたら絶対助けるとでも言うのか。俺に言わせれば、どのような場合でも、すぐさまそこから離れて当然なのだ。学校で教えるべきだと思う。どうだろうか。