撮り鉄について考える。
報道によると、数日前、八王子駅において「特急いわき」の撮影に押しかけた所謂「撮り鉄」たちが、列車の到着とともに近くへ殺到して、集団を避けてプラットホームの端を歩いていた一般旅客が、線路に押し落とされてしまったらしい。緊急停止ボタンが押されて駅員により助け上げられて事なきを得た。「鉄道ファン」「鉄道マニア」の横暴についての是非はともかく、なんとも恐ろしい事件であった。
俺は所謂「鉄道ファン」では無いが、人並みに鉄道を利用する。日本国内は廃線、廃駅や減便が頻繁とは言え、まだまだ鉄道網がそれなりに隅々までいきわたっており、混雑していなければ移動手段としては充分に合理的、普通に頻繁に鉄道が使われる。そして事件は基本的には一部のマニアによる稀な事で他人事であるが、一体どれくらいの危険遭遇度か。
まず、日本に鉄道マニアはどれ位いるだろう。
「鉄道マニア」の定義も難しいが、一説によると日本国内に100万人とか。統計によっては200万人と言われる。日本国民の50人から100人に1人が鉄道マニアという事だ。結構多いのだ。そしてそれは俺の中高時代の経験からも概算としても近い。というのも学年に何人かは必ず鉄道マニアがいた。1クラスとか1学年の割合からしても100人に1人はいた(ような気がする)。
また、臨時列車はどれくらい運行されているのか。
鉄道マニアの中の撮り鉄が全て、全部の臨時列車に群がる訳では無いが、おおよそ注目されるだろうとして、臨時列車を対象として採用する。JR東だけで3月からの122日間で2247本の臨時列車が運行される。1日約19本の臨時列車が管内のどこかで走っている。ではJR東全体でどれくらいの列車が運行されているか?以前、「JR東日本は新幹線や在来線などの運行本数を平日で計239本減らす。全体で2%減となり、削減規模は1987年の同社発足以来、最大となる。」と言う報道があった。それを元に概算すると大体全部で1日12000本の列車となる。つまり600本に1本が臨時列車だ。
それが通過したり停車したりする駅が危険の対象だが、普通人が駅に行くときは上記12000本の内の1本の列車利用が目的だ。だから乱暴だが遭遇確率は600分の1、時間が離れていたりもするから諸々概算でもう少し低い1000分の1とする。多めの見積もりかもしれないが私鉄は計算に入れてないし、1000分の1とすれば、1年で250回電車を利用するとしても4年に1度位は臨時列車の通貨か停車間近にその駅へ偶然いても不思議では無い。
その時、その駅はどれ位「鉄道マニア」がいるだろう?JR東対象地域に全体の半分が居るとして50万人、その内撮り鉄など臨時列車目当てに駅まで行く人がその10分の1として5万人、それが20本の臨時列車が通る各駅に分散するとする。JR東には約1680駅あって、そのうち勘だが対象となるのは20分の1くらいの84駅とする。実際は駅以外の線路近くの撮影ポイントなどにも分散するので、84駅とその他で200箇所とする。5万人が200箇所に別れても250人ずつだ。映像だと件の八王子駅も数百人いるように見える。概算だが大体間違えてないだろう。
まとめると大分乱暴だが計算が間違えていなければ、「4年に1度くらいは250人程度が群がる駅に偶然行く」ことになっても不自然ではない。
そして撮影希望の群衆は非常に危険だ。なぜなら、普通の混雑した乗降場でも御存知の通り危険なので、列車が来たら皆後ろに下がる。だが臨時列車目当てのマニアはどうか?逆に前に出る。でないと良い写真が撮れない。穏健なマニアもいるだろうが、群衆となると後ろから圧力がかかる。集団は撮影のため結局全体が前に出る。もし脇を歩いていたらひとたまりもない。ましてやそれが起こるのは列車が近づいてくる時だ。正に凶器の瞬間だ。つまり、そのような場面に何年かに1度遭遇したら呑気にマニアを見物したり、無視して集団を避けてホーム端を移動するなどという自殺行為はやめよう。どうだろうか。