引き続き、日本人が囚われている「縮小、清貧、節約」思考について考える。
本日も「Knight Frank」の「Wealth Report(以下、「報告書」)」を題材とする。
前回は報告書の「超富裕層の定義」と、日本国内でよく参照される「NRIピラミッド」との差異が、縮んで全体で貧しくなってゆく日本人の思考をよく表しているという内容だった。
NRIの5億円という境界値は、俺が調べた限りでも様々な人が「超富裕層の条件としては低すぎるのでは?」という主張を投稿したりしているので、正直ある程度は共有されている疑問かもしれない。
また、件の報告書だけでなく、他の海外のレポートでも「UHNWI」は3000万㌦により近く、モノによっては1億㌦とか、ビリオネアの文字通りビリオン㌦とかも見たことがある。「NRIを始めとする”日本国内の超富裕層基準”はとても低い」というのは多くの人が気がついていたと考える。
さて、件の報告書でもう1つ興味深い?のが、「日本の超富裕層人口は2027年までに1.8%減少する見込み」という予測だ。思い過ごしかもしれないが「コロナ以降でも資産格差が拡大した」とか、「純資産額上位〜%の資産は、上昇速度が下がっていない」といった報道を時々見る気がするから、この予測は大変意外ではなかろうか。
その予測では、日本のUHNWI数は
- 2022年:22259人
- 2027年:21859人(1.8%減)
で、その原因は
- 2022年:約1億2500万人
- 2027年:約1億2200万人 (300万人、2.3%減)
となる「日本の人口減」と推測推計している。
読み取り方によるしあくまで予測だが、衝撃的、絶望的、不可避、である「日本の暗い将来」を示している計算と俺は思う。
まず、報告書によると、世界では多くが「超富裕層」の数は増加を予測しているのに、逆に日本はそういう「桁外れの大金持ち」がたった5年で400人、1.8%居なくなってしまう予測だ。
推計基準が不明だが、普通に考えると単に人口減少に比例しているとすると高年齢者の自然減なのかもしれないが、それ以外は純資産が減ってしまうか、あるいは日本から出て行く事になる。
純資産変化は「全階層」に波及すると考えるのが自然だから、将来は経済規模縮小で相対的により貧しくなり、従って誰しも人間心理としては資産防衛のため、いよいよもっと「節約」に励むという絶望悪循環も充分有り得る。
そして、それが主要国の中で、日本だけで予測されているのが大問題だ。資産家や超富裕層が「他の国だと効率よく運用できる」と考えれば、国外脱出も合理的、あるいは国内にいても投資先は国外になる。どちらにしろ、日本経済縮小に働く。
「よーし、九州あたりに世界的需要のある製品生産する超ハイテク工場を作って何千何万と雇おう」みたいな、「ドーンと投資」してくれそうな可能性のある「超富裕層」が、国内には22000人程というのが、そもそも少なすぎると思うのは俺だけだろうか。
著名経営者とか芸能スポーツとか無理やり調べれば相当名前を挙げられそうだが、そういう名前を知っているような人達も徐々に居たくないと思うような圧力が強まっていくのが日本だと、報告書は暗示している。
しかし、人口問題は先進国では共通趨勢なのに、なぜ日本だけ超富裕層も減るほどの「縮小経済」なのか。「(悪)循環」であるから因果は難しいが、俺調べ?では単に人口が減るからという分析か、あるいは「思考」「心理」がそもそもの主因という分析だ。曰く:
- 競争しない、変化もしない
- 儲けるためのしんどい活動はしないが、嫌儲
- 欲しい物がない、欲望がない
といった感じだ。誰でも「似た様な指摘」をどこかで読んだり聞いたりしたことがあるだろう。
俺なりにもっと突き詰めると
- 目標、努力、成長は放棄
- 社会活動、社会交流を忌避
- 納税も極力回避
- 自分の殻に籠もりあらゆる面倒から退避
といったある種「厭世的」な人生哲学が日本を急速に支配しているのかもしれない。そしてこれらは「早期リタイア」的志向とほぼ同じだ。
俺も偉そうに書いてきたが、「面倒が嫌い」だし「辛い努力に日々励んでもいない」し、つまりこの考えに囚われているから大同小異、現在「早期リタイア生活」をしている人を論う意図はない。人間は自分の思う通りに生きるのが原則だ。
今後「早期リタイアするか悩んでいる人」は考え直す余地があると思うが、要点は「縮小経済に陥る原因となる日本人の思考」が「早期リタイアの信念」と共通点が多いという事だ。
とにかくこういう人達が多くなれば善し悪しは別として、投資家や海外から「この国は経済が発展する」と思われるはずがなく、また発展成長が阻害されるから経済縮小の圧力がかかる。
色々失礼?な意見も述べたが、社会経済問題素人のブログであるし、論理の飛躍が多いから、こういう考えもあるのか程度に受け取って読み流してくれ。どうだろうか。