マフィンの食中毒事件について考える。
今更だが、先日、零細経営の菓子店が催し物に出品した「マフィン」で食中毒を起こして、大騒ぎになった。
行き過ぎた「自然志向」が問題の根源だとか、そもそも食品管理が杜撰だとか、その後の対応も大問題となり、他のニュースにかき消されているが未だに収束したとは言えない状況だ。
この事件?の一番の被害者は言うまでもなく、傷んだマフィンを食べて中毒を起こしてしまった人達である。大変に気の毒だ。
俺もその辺で買った菓子パンで食あたりを起こしたり、祭りで勢いで買ってしまった焼きそばなんかで腹痛を起こしたら、たとえ軽症であっても激怒する。
多数の客に健康被害を与えてしまった製造者の責任は厳しく追求されるべきであろう。
直接の被害者以外に、「間接的に影響を被る勢力」として、まぁ色々あるだろうが、洋菓子とかパンの製造者が上げられる。事件はそのうち忘れられるとしても、しばらくは「微妙な製品」でこの事件を思い出し、すなわちマフィン等の売上げに影響があるかもしれない。
食品製造会社が「添加物不使用を謳った食品」を売り出すとなると、製造者や小売店も身構えるが、買う方も不安を煽られてしまう。
マフィンだけではないが、防腐剤が入っていても、入っていなくても、つまり、月並みだが「どっちにしろ心配のタネは尽きない」ということだ。
別に今に始まったことでは無く、有機栽培とかオーガニックとかが本当に良いかどうか、あるいは合理的なのか、ネットその他では長年論争になっていて俺の知る限り結論は出ていない。
という事で結局は消費者が「有害な化学物質」や、「腐敗の危険のある食品原料」や、はたまた「問題のある食品製造者」「だけ」を賢く避ける有効な方法は無いので、究極は気にしてもしょうがない、あるいは気にしようがない。仮に外食を除外しても自炊の安全性が保証されず、また食材まで自分で製造できない。
そもそもウイルスや細菌の影響を完全に排除して食品の製造販売を管理するのは多くの食品で現実的では無い。缶詰やプラで密閉パックみないな方法でできるかもしれないが、美味しさや形状や費用などで二律背反が起きると思われる。ラーメンをラーメン店で真空パックしたものを買って家で食うより、ほとんどのラーメン愛好家?は少しの危険があっても店で作りたてを食べる方を選ぶ。
とにかく本質的には、個人レベルではどうしようもない。分かりやすく傷んだり腐っているものでなければ、食いたいモノを食いつつ、安全性より他の事を気にした方が良い、というのが素人の俺の考えだ。
だが、洋菓子店やベーカリーや零細惣菜販売社以外に、理不尽な被害を受けている勢力がある。
それは納豆(製造者)だ。そして生納豆を使った食品群だ。
報道を読んでいると、しきりに「納豆のような匂いがした」とか「納豆のように糸を引いた」とか、納豆を引き合いに腐敗の深刻さが表現されている。納豆自体は無関係なのに…
多くのコンビニで、「納豆おにぎり」とか「納豆巻き」が売られている。どれも納豆の匂いがするし、納豆のように糸を引く。納豆が入っているから当たり前だ。俺は気にしないけれども、気にする人は気にしてしまうのでは無いだろうか。納豆チャーハン、納豆パスタ、納豆サラダ、そもそも「納豆マフィン」だって、今となってはもう無いかもしれんが十分に有り得た。とにかく全て、今後は疑われてしまわないだろうか。納豆業界に悪い影響が無いか心配だ。
事業不振で小売りの撤退や縮小が多い昨今、通販で補完できるモノもあるが、流石に納豆は向かなそうなので、このまま近所でスーパーが次々と無くなっていずれ納豆も買えなくなるのではないかと危惧している。
あるいは技術革新が起きて新鮮な納豆も気軽に配送できるようになるだろうか。とにかく納豆が気軽に購入し続けられる社会であってほしい。どうだろうか。