State of the Union Address(以下「一般教書演説」と略)について考える。
唐突だが、米国時間の3月1日、東部時間の午後9時過ぎから、大統領による「一般教書演説」が行われる。昨年は無かったので、バイデン大統領としては初めての競書演説だ。ところで「教書」とは仰々しいが、ウィキペディアによるとそれは「メッセージ」の意味らしい。紛らわしい。
規模の差はあれど、我々一般投資家にとっては、米国自体の方針と大統領による状況認識は無関係はあり得ないので、その国の大統領が何を言うのかは知っておいても一応、損は無いだろう。
といっても、「政治家の演説」だから、最初から最後まで真面目に聴くのもナニかも知れない。というのも、あまりハッキリ何かを「断定」しすぎても、後で辻褄が合わなくなる可能性があるし、かと言って真実を曲げるような要素は、支持に響くから少しでもあってはならない。ところが、真実でも言えない事もたくさんある。従って、一般教書演説に限らないが「無難な内容」に成りやすい。無難を維持しながら、何を考えているかをうまく伝えられるかが、「一般教書演説」の腕の見せ所だ。
日本では、演説時間は午前の仕事も忙しい時間帯だし、米国でも夕方から夜でそれはそれで色々忙しい人も多いし、ほとんどの人は内容、概要を後で報道で知るのが精々だ。ちなみに、一番長かったのは、以外だがビル・クリントン大統領の2000年の演説が約1時間半だった。ホワイトハウスからの「生放送(ライブキャスト)」は2002年のジョージ.W.ブッシュ大統領の演説だった。「悪の枢軸(Axis of evil)」というパワーワード?が登場した。「悪の枢軸」とはイラン、イラク、北朝鮮だった。話が逸れるが、ちなみに、この「枢軸(Axis)」という言い回しは、日独伊を「枢軸国」と称したところからきている(らしい)。もともとムッソリーニが言い出したらしいが、何が「軸」なのか、よくわからない。
話を戻して、また、歴史的には「演説」がいわゆる「上から目線」過ぎて「共和制に似合わない?」という事で、「メッセージを文書にしたもの」を議会の議員に「個人的に」配っていたらしい。今迄222回の「メッセージ」があったが、三分の一以上がそのような「個人的なメッセージ伝達」だった。ラジオやテレビで放送されることになって、より国民へ向けての内容という色が強くなり、「個人的伝達」は無くなっていった。つまり、以前はどちらかというと議会、議員向けであったという事で、議員内閣制よりも、議会との連携を図るための努力が必要であることを示している(そうだ)。
ちなみに、通常は「一般教書演説」は1月下旬か、2月上旬に行われるが、今年はひと月遅れとなる。理由は明白じゃないらしいが、考えられるのは感染症、そしてオリンピック、あとは低俗に推測すると、このひと月で何か成果をあげられないかという打算もあったかもしれない。また、例によって「火曜日」が多く、今回も米国時間の火曜日だが、平日は忙しいから週末の方が良いと思うのは俺だけだろうか。
さて、今回の内容についてだが、当然現在進行中の「ウクライナ危機」について、多く時間が割かれる。そして感染症対策、インフレ、対中政策、等々。そして肝心の「Build Back Better」法案、結局上院を通過せず未だにどう処理するかの方針が定まっていないようだが、それについても何らかの言及があると思われる。
だいたいこんな感じが予想されるが、逆に言うと「これら以外」に、何か時間を使うようであれば、そこに意外性があって、報道になるので、注目される。また、上記項目への言及が「無かった」場合は、そこには注力しないのか、それは触れるほどの重要性がないという認識なのか、という逆注目を生んで、それはそれでニュースになるだろう。その辺に注目だ。どうだろうか。