即席散髪屋について考える。
千数百円という値段、速度、腕、素晴らしい散髪屋だ。同じサービスでも、2倍払っても良い。3倍でも俺は構わない。
特に何が良いか?
それは時間を無駄にしない流れがキッチリ固まっており、お互いに無意味なお喋りが無いからだ。時間も節約でき、変な気を使わない。ただ座って、適度な希望を言って、あとは、はい、これでOKですーというだけだ。合理的だ。散髪が目的だから、それ以外の雑用や無駄口は省いたほうが良い。
素晴らしいのは何も俺だけの評価ではないと思う。なぜならいつ行っても、何人か客が待っている。ヘタすると待つ場所がない。需要がある証拠だ。待っているのは決まって暇そうな爺さん、定年直後のような老人、身なりにあまり気を付けないといった感じの男性だ。女性は見たことないし若いほとんどいない。
近くにないと行くまで、あるいは探すのが多少面倒だが、別の用事で出掛ける時にその辺に偶然あっても、気軽に寄れる。そもそもスマホで一発でどこにあるかいつでも調べられるからその心配は現代ではほぼ無用。次々と処理されるので多少モノ扱いされている感があるが、それを欠点とする意味がないほど、俺には利点度が高すぎる。
ひとつ心配なのはここんとこの感染症の大混乱で、経営に影響がないかという事だ。もともと、理容師の方々もあんな値段で、給料は大丈夫だろうかと不安だった。でも需要があるのは確かだから、このようなサービスはどこかで維持されるだろう。
ところで、投資家としては、散髪にどれだけ時間を使うべきか?
当然人によるが、このような流れ作業の10分散髪は、俺にとっては少なくとも消費時間的にも合理的だ。
普通の散髪は「カットのみ」で検索しても、大体15分から長いと1時間とマチマチだ。髪の長さにもよるし、目指す髪型にもよるし、当然熟練度にもよるし、これだという平均値みたいのはないと思うが、まぁ俺の経験からも短めに30分としよう。つまり、10分散髪だと20分節約できる。
同じ頻度で、即席でなければ多少費用も高い。安いほうが20分節約できるというのは、出来上がりに不満がなければとても良い投資という事になる。もちろん、例えば丸坊主でも気にしなくて、自分でバリカンで刈るので良いとか、家族に好きな時に家の中ですぐにやってもらえるとか、可能ならばその方がより効率的だから、即席10分が良いというのも一概には言えない。また、髪型にこだわる人とか、床屋や美容室を一種の社交場として楽しめる人とか、有意義な時間にできる人は、そもそも節約しようとか効率とか考える必要はない。
とにかく相対比較で20分、2週間に一度、死ぬまでに1500回行くとしたら、500時間だ。考えようだが、1日16時間ずつ活動しているとして、大体ひと月くらいの活動期間になるので、俺にとっては無視できるほど短いとも言えない気がする。そういう意味でも非常に気楽に利用できる営業店のひとつだ。
ちなみに、超富裕層バフェットは地元の長年通っている床屋に2、3週に一度、普通に予約して散髪に行っているそうだ。俺が読んだ記事によると料金はチップ以外で18㌦、どれ位の時間でやるのか分からなかったが、散髪中も他の客と同様新聞を読んだりテレビのニュースを観たりしているらしい。要は習慣に組込まれていて、あまり細部にはこだわっていないようだが、慣れたところ以外は希望の説明も面倒とか、地元だからすぐ行けるとか、色々結局は効率を重視していると思われる。どうだろうか。