古いビデオ映像の取り出し回収について考える。
一昨日、昨日の続きだ。
古いビデオ映像の取り出し回収について考える
古いビデオ映像の取り出し回収について考える
さて、変換機器だが、プリンストンテクノロジーの、PCA-DAV2という製品だ。中古で約1000円だった。ネットで得た情報では、
- デバイスのカード番号を変更して、モジュールを再ロードすると、デバイスが認識され、マウントされる。
- ビデオ信号がデフォルトでPAL形式になっており、NTSCに変更しないと、映像が乱れてしまう。
- オーディオ信号がデフォルトでMuteされており、解除しないと音声が取り込まれない。
という事らしかった。というのも、OSのバージョンも古く、音声は必要ない乃至ただ映像を試しただけという感じの情報が多くて、映像と音声、両方の取り込みを確認した情報は見つからなかった。そもそも記事自体が何年も前で古い。PCA-DAV2も10年以上前の製品だ。こういうのが動くかもしれないのが、このOSの良さでもある。
情報は古かったが、デバイスのカード番号等は先人の方々の貴重な情報で作業を効率化できたし、そもそも「モジュールの再ロード」である程度まで行けるというのを知っているのと知らないとでは大違いだ。大変助けられたので、俺も作業の詳細を書いて、他のフリーソフト愛好家と、情報を共有したいと思う。結論を先に書くと、下記の手順で、PCA-DAV2を使用し、コンポジット出力から映像と音声の取り込みに成功した。品質の良し悪しはわからないし、他の環境で同じ手順で動くかも定かではない。参考になれば幸いだ。
#マシン起動
#ツールインストール(環境によってコマンドは違う。以下はdpkg/apt系コマンドが使える場合)
> sudo apt install -y v4l-utils qv4l2 obs-studio ffmpeg
#再生機器のコンポジット出力をPCA-DAV2のコンポジットへ接続。
#PCA-DAV2のUSBケーブルをパソコンのUSBポートへ接続。
#デバイス「em28xx」として初期認識される。
#モジュールをcard=68で再ロードすると、videoデバイスで認識される。
> sudo rmmod em28xx; sudo modprobe em28xx card=68
#この状態で、うまく行っていれば、再生機器で再生を開始すると、qv4lsから/dev/videoN (Nは環境による、以下は2として書く)から入力される、映像をパソコン上で見ることができる。
> qv4l2 -d 2 # /dev/video2 から取り込むので、-d 2
#しかし、自分の環境では、音声が無い。ミュート状態を解除する。
> v4l2-ctl -d /dev/video2 -L # 設定可能項目の表示。ミュートを確認。
> v4l2-ctl -d /dev/video2 -C mute # ミュート設定を確認。mute=1ならミュート状態。
> v4l2-ctl -d /dev/video2 -c mute=0 # ミュートを解除
#映像出力をNTSCに設定する。これはffmpegでもできるはずだが、わからなかった。自分は回避策として、以下のようにOBSStudioを起動しそこで設定した。
> obs # またはUIから起動。ここで、映像入力デバイスでそれらしいものを選択し、その設定で「NTSC」を選択する。自分の環境ではこれをやらないと、映像が乱れてしまった。
> # Ctrl-Qなどで、UIからobsstudioを終了する。
#次に音声のハードウエア番号を確認する。後のffmpegで必要になる。
> alsamixer #alsamixerで、F6キーを押し、キャプチャ用のデバイスの番号を確認する。自分の環境では1だった。環境に依存する。
#これで準備が整ったので、テープを必要なら巻き戻し、以下のコマンドが動き始めたら、再生を開始する。注意:videoデバイス番号、alsaハードウエア番号は環境による。
> ffmpeg -f video4linux2 -i /dev/video2 -f alsa -i hw:1 output.mp4
#再生が終了したら、qキーを押して、ffmpegを終了、すべて上手く行っていれば、output.mp4が取り込まれた映像と音声のファイルになる。
#注意:以上の方法で取り込みに成功したが、時々、音声が取り込まれなかったり、NTSC設定がうまく行かない事もあった(原因不明)。再起動からやり直してうまくいくことが多かった。皆さんの環境でうまくいくよう、幸運を祈る。