米国議会の「フィリバスター(議事妨害)」について

2021-09-17 投稿

米国

米国議会の「フィリバスター(議事妨害)」について考える。

凡人 (求職中) の素人視点なので、真に受けず、疑って読んでくれ。


突然だが、ここしばらく米国議会で大型法案の可否について話題になっていて、そこで頻繁にフィリバスター(以下、「議事妨害」と略)について触れられているので、ここで改めて簡単に解説する。

株式投資を始め、米国に興味があれば、あるいは超富裕層を目指すには、知っておいて損はないだろう。

といっても俺も米国専門家ではないので、ネットで調べた情報を基本にこの投稿を書いていることを踏まえて、読んでくれ。

まず、基本情報だが、米国は上下両院(2院)あって、法案は両院を通過する必要があり、上院は定員100で、それに加え副大統領が議長を務める。

そして2021年9月の現状では、上院は1月のジョージア州補欠選挙を経て、民主党系(以下、「民主党」と略)と共和党系(以下、「共和党」と略)が50-50と拮抗状態となっている。下院は民主党が僅差で多数派となっているので、造反が一定数以上無ければ、民主党提出のほぼ全ての法案を通過させることができる。

民主主義の原則に則り、上院も当然多数決で採決されるが、上院は50-50だから造反がないと多数派が出来ない。その場合、副大統領の1票で決まることになっている。

従って、理論上は、採決に持ち込め、造反がなければ、51対50で民主党(系)の出した法案は上院を通過することになる。

ここまでは普通だ。だがここからがアメリカ的で面白い。

第一に、上院の法案審議では、議会期を越えて行うことが出来ない。
第二に、上院の法案審議では、他の議員の討論を、その議員の同意がなければ中断させることができない。

つまり、議会の期間は有限だが、議員の発言時間は無限だから、どのような法案でも、廃案に持ち込める。この行為が、議事妨害行為だ。だが、規則に外れておらず違法行為ではない。また、自由討論に重きを置いた米国の良さの1つとして捉えられている。そして、大昔は実際に演説していた様だが、最近は「フィリバスターやりまーす」と議員が宣言すれば、あとは議場にいれば良い事になったので、長演説は見られなくなった。

これでは1人の反対者さえいれば何も決まらない。そこで、上院では100票中、「60票」で、議事妨害を終了させられる事になった。これは「クローチャー(cloture 、「討論終結」の意味)」と呼ばれる。討論を集結させられるという事は、採決できるということだ。つまり、法案の上院通過を果たすことができる。

しかし、2大政党が定着している実際の米国で、上院勢力に於いて、どちらかが60票を占めるのは容易ではない。結局何も決まらないのでは?と感じるが、そこはアメリカ、少数派が「譲歩」を引き出してある程度意見を通せれば、修正法案が通過する事も多い。直近では、オバマ大統領の「医療改革法案」でそのような修正が起きた。また、米国で長年意見が分かれている事案について影響がある、最高裁判事の認可についても、上院で採決が必要なため、判事の考えが偏っていると見なす反対派が多ければ、同様の混乱が起きた。

だが、どうしても譲れないという時もある。最近どうもそういう事が多いようだ。それを以て「米国の分断」の一因(あるいは分断による結果)という意見も多いかもしれない。米国の分断については、時間があればいつか考察してみたい。

そして現在、大型法案を巡って、議事妨害を、譲歩でもなく、討論終結でもなく、強引な方法で通過させようという機運が盛り上がっているのだ。それについては新たな投稿で紹介する。

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