なぜ冷酷な経営者が評価されるのかについて考える。何の専門家でも無い、凡人 (求職中) の素人視点なので疑って読んでくれ。
数日前、とある著名な日本の経営者が「45歳定年」なる提案をぶち上げて?ネットで話題になっている。
賛否両論だがどちらかと言えば反対論が目立つ。労働者の権利を守ろうというわけだ。賛成側としては、人材の有効活用、社会の活力のためといった感じだろう。発言した本人ももしかしたら反対が意外に多くて驚いているかもしれない。
そして、ネットではパソコン利用も覚束ない、「おじさん」社員が使えなくて会社で困っているという論調も多い。まぁそういう教育を受けてこなかったので已むを得ない面もあるが、とにかく時代についていけない中高年が居て困るという意見はよく見る。
また、どの会社も女性社員がまだまだ少なすぎるという主張もよく見かける。
だが、「終身雇用」を守りつつ、使えないおじさん社員を減らしつつ、女性社員の割合を増やすのは可能だろうか。
雇用を維持し、おじさん社員をIT再教育し、女性社員を大幅に増加させれば、少なくともその方向に向かうだろう。俺は知らないが実際にうまくそれをやり抜ける会社もあるかもしれない。
だが、君がその会社の株主だったらどうだろうか。いや、株主ならまだいい。だって、イザとなれば株を売却する事ができる。損失が出るかもしれないが、自己資金であれば致命的にはならない。そこの社員だったら、どうだろうか。
日本企業社会の根幹である「終身雇用」に依存した従業員達、そのようなおじさん達は、会社と文字通り一蓮托生だ。彼等にとって生き残るためにはその存続が第一だから、女性社員増加には無理があるのでは?と心配になるだろう。
おじさん社員以外の社員はどうか?彼ら彼女らは今更古い人達にIT再教育なんて無理があるのでは?そもそもなぜ教育しないと使えないのに給料だけ高い人達を抱えておくのか?と疑問に感じるだろう。
女性社員増加要因の人達はどうだろう?おじさん社員を抱えつづける会社に魅力あるだろうか。有能な人ほど、会社の将来に不安を感じて、他を当たるのではないだろうか。
俺が考えるに、全てを満たそうとすると、株主を含めこのように誰も得しない、誰得状態だ。まぁ敢えて言えば終身雇用されればそのおじさん達が得しているのかもしれない。だが投資家からも見捨てられそうな会社に完全依存し、いつ悲劇的になるかもわからない。終身雇用されているからと言って、その会社の存続まで保証されているわけではない。
そもそも世の中若い人が様々な面でワリをくっているという指摘も多い。若年層にもっと寄り添った考えで社会を運営していくべきだという主張だ。これも一理あるだろう。だったらおじさん社員だけが得な方策も考えものだ。
だったらどうすれば良いのか?
雇用問題に関してだけではないが、日本は万事こんな感じで雁字搦め、まぁ外国も似たような状況もあるだろうが、とにかく全員の面子を立てて誰も損をしないよう配慮しつつ、全体の改善を図るのは至難の業だ。だから例えば会社経営に於いては冒頭のような発言が出てくる。つまり、突破口があるとするならば、誰かがワリを食う方策になる。言い換えると、誰かが構造変換の犠牲にならないと、状況を好転させるには無理がある。
それがどこなるべきか、正解は無い。
では、誰がそれを決めるのか?それはその時の最高経営責任者だ。経営者というのは、この様な難しい決断を下すために雇われているといっても良いだろう。「決断しない」経営者というのは「何もしていない」に等しい。だから、一見冷酷な決断をするような経営者は、株式市場で評価されやすい。どうだろうか。