凡人 (求職中) の素人視点なので疑って読んでくれ。
突然であるが、超富裕層を目指す俺のいくつかの趣味の中で、最も長い時間心から楽しめるのが、MLB観戦だ。本当は球場に行きたいが、物理的に無理があるのでネット観戦だ。ネットであっても、毎日ずーっと観ていても全く苦にならない。唯一の例外は贔屓のチームの負けがこんでいる時間だが、基本どのようなチームの試合でも楽しめる。
歴史的なライバルチーム同士は毎年ムキになって試合するし、遺恨のある対決もあるし、データを見ても面白いし、そして何と言ってもスーパースター大谷もいる。レギュラーシーズン162試合、30チームで2430試合、全てを観るのは無理だが、例年毎日複数画面で試合をチェックしている。
画面を見ているだけだから有意義かどうか分からないし、少なくとも生産的ではないが、楽しんでいるという点のみでよい時間の使い方と思うことにしている。
それはいいとして、今年は大きな問題がある。とにかく、とても米国らしいといえば米国らしいのだが、依然としてMLBの労使交渉が前進しないのだ。
昨年のシーズン終了後、数々の大物が移籍市場に出るのでワールドシリーズ終了後も関連ニュースで盛り上がっていたのに、労使契約が切れて一気に盛り下がってしまった。移籍先が決まらない大物もまだ何人もいる。それはいいとしても、2022シーズン興行自体が危ぶまれる。もう1月も終わってスプリングトレーニングが始まる時期なのに、また3月31日が開幕予定日なのに、交渉が進展する気配が全く無いのだ。
特に投手、捕手は2月26日から始まるExhibition Game(オープン戦)のためにも、トレーニング地であるアリゾナやフロリダに遅くとも2月中旬までに行く必要がある(らしい)。そのためには2月初旬の合意が必要だ(そうだ)。ちなみにオープン戦もMLBでは良い収入源だ。
今年は大谷が一層の飛躍が見込めるかもしれない、日本人にも見逃せないシーズンなのに、ヤキモキしている人も多いだろう。大谷は今年夏で28歳、キャリアとしては一番良い年齢を迎えていると言っても良い。万一ストライキになって無為に1年過ごすことになったら、大打撃だ。
現在まで決まっている事は「指名打者制の拡大」と「ポストシーズンの拡大」等のマイナーな要項だけで、本体の交渉は捗っていないようだ。
それはなぜか?
平たく言うとお金で争っているのだが、報道を読むと大きな収入を労使でどう分けるかという様な大事から、フリーエージェント前の選手の待遇と仲裁の権利とか、贅沢税の金額とか、ドラフトのやり方とか、自動ストライク判別とか、硬式球の選定とか、投球間隔時間とか、多岐にわたっている。それぞれが究極お金につながっており、そして1つの事項が別の事項の取引材料になったりする。いかにもアメリカらしいが、複雑な交渉であることは確実だ。たくさんの弁護士が関わって、多くの細部に渡って取引するので、時間がかかる。
超大金持ちの所有者達も、大金持ちの選手の集まりの選手会も、双方、試合興行できないと収入が見込めないので、合意する方が良いのは百も承知だ。だが「どう合意するか」が中期的に収益に影響するので安易に譲歩しない。ここで譲歩するから、他の何処かでそっちも譲歩してくれと言った感じを延々続けていく交渉にならざるをえない。
取り決めにおいて、不平等や曖昧さや非合理性を残せば残す程、後により大きな問題となりうる。もう時間がないからこの辺は先送りしよう等と安易に進めるのは、結局後々より長い時間がかかる。
例としては悪いかもしれないが、トヨタで労使交渉がこじれたとする。議論すべき問題が幾つもあるのに「ユーザーが困るから」と安易に問題を先送りしたりすると、労使スッキリせずに結局品質に影響するかもしれない。だったら時間がかかって取引してでも、一旦決着をつけて次に進んだほうが良い。
超富裕層を目指す俺から観ると、もし当事者、球団経営者とか共同オーナーだったらと思うと、やはりガードを固めて警戒してしまうだろう。動く金額も桁外れに大きく、交渉結果が直接自分に返ってくる。結果の責任も取らなくてはならない。出資者が他にも居れば、もっと責任を問われてしまう。だから、よく日本で報道される「労使ともに身勝手を主張し合って、ファンは置き去りにされている」みたいな見方は、浅い。
特に米国の労使交渉などでは、相手側は少しでも有利な条件にしようとあの手この手で交渉してくる(ように思う)。性善説でやって「向こうもそんな理不尽は言ってこないだろう」などとタカをくくって、万一損害を出したら責任は自分に返ってくるから、ファンの心情も無視している訳ではないだろうが、労使双方、ファン第一とも言ってられないのが実情だと思う。どうだろうか。