MLBの「ロックアウト」について考える。
一凡人 求職中の素人視点なので、真に受けずに疑って読んでくれ。
今更だが、MLBの労使問題がこじれている。
当初の予定通りに開幕するためには、チームでのトレーニング(スプリングトレーニング、日本で言う「キャンプ」)を遅くとも2月中に始めないと間に合わないと言われており、その期日が迫った2月末から何日間にも渡り、労使の代表者が一箇所(フロリダ州ジュピター)に集合して交渉を続けたが、3月に突入してしまい、それでもついに合意には至らず、開幕延期が決定してしまったのは報道の通りだ。一体何を揉めているのかというと平たく言えばお金だが、報道によると、双方の細かい点での希望の数字がかけ離れており、まだまだ予断を許さない。
細かい数字は良いとして、本日はこの「ロックアウト」を題材とする。
以前、1994年のMLBの「ストライキ」について投稿した。
唐突だが、2016年11月30日に合意した、CBT(Collective Bargaining Agreement、以下「労使協定」と略)が2021年12月1日で期限切れを迎え、その後は、新たな労使協定が必要となる。もうすぐだ。協定が合意に至らないと、球団と選手の間の様々な決まり事、ルールがないわけだから、MLBの試合興行は出来ないし、フリーエージェント選手と球団の交渉も出来ないし、年が明けて開幕が近づいてきても、スプリングトレーニングさえも出来なくなる…
1994年の「ストライキ」も今回と同様に、MLBの球団経営者側と、MLBPA(Major League Baseball Players Association、以下「MLB選手会」と略)が、CBT(Collective Bargaining Agreement、以下「労使協定」と略)の新たな条件についての交渉が決裂したという意味では同じだ。
ではなぜ、今回は「ストライキ」では無いのか?それは単純で、今はシーズンが始まっていないため、MLB選手会がストライキをしても試合興行へ影響力を行使できないからだ。だから今は単に?協定が期限切れになった状態だ。
ではなぜ、今回の状態は「ロックアウト」なのか?
ここ数年の感染症で外国都市のいくつかが「ロックダウン(封鎖)」状態になったのは記憶に新しいが、MLB労使交渉では「ロックアウト(締め出し、排除)」といった状態であるという事だ。
つまり、球団の球場を始めとする施設は、球団経営者であるオーナーやオーナー企業の所有だ。トレーニングや試合のためにはそこを選手が使用する必要があるが、経営者側が使ってはならんと、選手たちを文字通り施設から「締め出して」いるから、現在は「ロックアウト」状態ということになる。
当然毎年使っていた球場で試合はもちろんできないが、通常のトレーニングもできなくなってしまう。シーズン前には監督コーチと選手がチームでトレーニングをして開幕に備える必要があるが、それができない状態だ。トレーニングをギリギリ開始すれば予定通りの開幕に間に合うのが、先日の期限だった。合意に至らなかったため、未だ施設の利用はできない。だから開幕が遅延することとなった。
また、物理的な施設の使用だけでなく、新たに契約する選手との条件交渉さえもすべて停止するという方針のため、多くのフリーエージェント選手たちは所属先も決めることができない。昨年の12月1日までは連日大型契約の報道で盛り上がっていたのに、その後は何も進展させることができないのだ。無視して影で交渉したりすると、きっと裏切りとみなされて双方でひどい制裁を受けるだろう。でないと、厳しい条件交渉で収拾がつかなくなる。
では、なぜ経営者側は、施設の使用くらいは許可しないのか?施設を使わせることで、選手会の要望が通り易くなることには一見直結しない。トレーニングは例年通り許可すれば、ギリギリでまとまってもすぐに開幕できる。
だが、経営者側の考えは、交渉の進展に圧力をかける意味において、トレーニングもままならない現在の様な状況の方が選手、ひいては選手会の焦燥を促す事ができると考えて、このような手段に出ている(らしい)。
という事で、本日は「MLBロックアウト」とは実際何なのか、そしてどうしてそうなっているのか、について解説した。どうだろうか。