ロックアウトとマイナーリーグについて考える。
MLBの労使交渉は、ここに来て色々な動きがあるにしても、既知の通り依然難航している。ところでマイナーリーグの方への影響はどうなのか。
マイナーリーグベースボール(Minor League Baseball、以下「MiLB」と略)のチームはメジャーの球団の傘下にあるから密接な関係だが、こと球団経営とそれにともなう労使関係というのは、どうも全く別らしい。
というのも、フリーエージェントになった選手達との交渉はCBT(Collective Bargaining Agreement、以下「労使協定」と略)が期限切れとなった12月初旬以来、すべて停止されているが、マイナーでの契約は細々とだが報道されている。
また、AAA(トリプルエー)をはじめとするMiLBと各球団は、繰り返しMLBのロックアウトはMiLBの試合開催に影響しないと明言している。ネットで調べたところでは、AAAは4月5日、その他AA(AA)とA(クラスA)も4月8日に当初の予定通りなのか知らないが、シーズンを開始するらしい。という事は、すでに各球団の施設も使ってスプリングトレーニング的な事もしているだろう。ただし、「40-man roasters(40人枠)」に入っていると、MiLBの開催する試合には出場できない。
この「Roaster(ロースター)」というのがまたややこしいが、単純に「名簿表」、「リスト」という意味、つまり選手名簿だ。MLBには現在、「40-man roasters(40人枠)」とその部分集合である「26-man roasters(26人枠)」があり、その40人はすべて「メジャー契約」となる。つまりMLBPAの一員となる。だが、そのうちの選ばれた「26人」でないと、MLBの公式戦に出場できない。残りの14人はMLBの公式戦に出られないので、入れ替わりを目指すわけだが、どうするかというと、通常その間は「マイナー契約」している選手とともに、MiLBの試合に出場することができるので、そこで実力を見せるわけだ。だが、今回のロックアウトで、MLB契約である選手はCBTが期限切れのため、MiLBの試合には出場できないという事だ。
MLB契約していない、40人枠外のMiLBの選手はMLBPA(Measure League Baseball Players Association、「MLB選手会」)の一員では無いので、今回の労使交渉の対象ではない、ので試合開催の影響は受けない。もっといえば、MiLBの選手とMiLB並びにMiLB球団との間には、MLBとMLBPAのような「労使協定」が無い。
要するに冒頭で述べた通り、MiLB、MiLB経営、そしてMiLBの「40-man roasters」に入っていない選手たちは、ほぼ完全に別の扱いということだ。この辺りは、一軍と二軍チームが直結していて同じ経営母体であるNPBとは異なる。
と言う事で、MiLBの試合は「40人枠」の選手が参加しない以外は、普通に開催される見込みだ。ところで、日本から今年も米国移籍を目指している選手がいる。彼は当然メジャー契約を目指しているわけだから、MiLBは関係なく、かと言ってまだMLB選手会の一員でもないのだが、ロックアウトの影響で契約交渉はCBTで合意に至るまでできない、つまりフリーエージェント選手たちと同様な立場と考えられる。送り出した方としては、何ともやり切れない気分だろう。MLBに挑戦するならまだしも、契約さえままならないとは…