現代日本の知られざる問題介護事業について考える。
唐突だが、君はどれくらいの頻度で銀行へ行くだろうか。
先日、口座解約の為に幾つか「長期間使っていない口座がある銀行や信金」のいくつかを回った顛末を投稿した。
どうでも良いが、しばらく使っていない口座をいくつか整理(解約)した。通帳、カード、印鑑等々は体積としては大したことがないが、それでも維持には手間がかかるし紛失に気を使う。使っていない口座であれば、引っ越しを繰り返して散逸してしまう前に整理する方が合理的だ。以前は、いつか口座が欲しくなったときの手間が省けるからと維持していたが何年も使っていなければ、帰納的に今後も使用しない可能性が高いと割り切って、整理した。口座によっては3点セット全部揃っていなかったが、本人確認出来るものがあれば問題なかった。一部の口座は離合集散を繰り返した銀行で過去の記録を辿れるのか一抹の不安があったが杞憂だった。
待ち時間も我慢出来ないほどでは無いが結構ある。必然的に店舗の中を眺めることになる。そこで分かるのは(別に行かなくても分かることかもしれないが)、日本の銀行窓口業務というのは客層に顕著な特徴があるという事だ。手短に言うと店舗にいる客は大体が老人だ。
その少し下の層も結構いたが、彼ら彼女らはその歳ですでに昼間から店舗に来て長時間過ごしているからすぐにそばにいる老人客と同様となる。日本は高齢者数自体が増えているし、そもそも窓口の時間が平日の昼間だけで来店できるのは暇がある?高齢者が多いと思われるので、自然というか当然の光景だ。銀行の一般的な窓口業務というのは、60歳以上くらいの年齢層が主要対象、つまり高齢事業だ。
高齢事業も儲かっていれば問題無いが、当然、店舗運営というのは人件費や店舗の維持等莫大な費用がかかるし、かと言って頻繁に来店する高齢者達が儲けが大きい何かをやってくれる訳では無いと思われる。そうでなければ、銀行が電話やアプリでできる事はできるだけそっちでやってもらおうと躍起になったり、業界全体がどんどん店舗を閉鎖していったり、予約システムを導入して面会を効率化しようとしたりしないだろう。つまり、現段階ではまだまだ効率化合理化がもっと必要な、良くてギリギリ黒字の分野だと推定する。本音はやりたくないかもしれない。
法人営業等もし他に儲けられそうな商売があるならば、そちらに経営資源を集中して、あまり業績に好影響がない店舗経営はきっぱりやめても良いはずだが、想像するに(特に日本では)色々な人が反対して中々そうスッパリとは行かないだろう。すなわち、批判されない程度の結構な数の支店は維持せざるを得なくて、結局それがジワジワと本業を圧迫していくかもしれない。都市銀行が「店舗全閉鎖」とかブチ上げたらメディアや政治家から袋叩きにあう。
これで割りを食うのは誰か?はっきりしているのは業績改善の機会を失っているその銀行の(店舗が無くても仕事がある)従業員だ。あと株主だ。それから、本当はアプリの使い勝手をよくするとか店舗営業以外の事業改善や新規サービスによって受ける筈だった恩恵を逃してしまっている(老人以外の)顧客だ。逆に言うと、それ以外の人達が恩恵を受けている。つまり第一に「高齢者や老人の顧客」、第二に「店舗がないと仕事にあぶれる使えない(高齢)社員」だ。非合理性がまかり通っていると見ることができるから、超富裕層だとしたら、投資対象としても取り引きにしても、そういうところとは関わるのを避けるのが自然だ。
まとめると、都市銀行とか大きな地方銀行とかの「何百店舗も維持するような個人客向け店舗事業」というのは、是非はいいとして、乱暴に言うと「老人以外が老人を補助」している「準老人介護事業」と言っていいと思う。どうだろうか。