ワイン投資について考える。
どうでも良いが、最近ネット記事等で何回か、「ワイン投資」について肯定的な内容を読んだので、本日はこれを題材とする。
まずはじめに断っておくが、投資というのは対象が無限にあり、何が良くて何が悪いか等という絶対的・確証的判断は誰にもできない。何に投資するかは投資者の判断であり俺は関知しない。大切なのは自分でまずよく考える事で、考えたところで成功の保証はないけれども自分で考えて判断するのが大切だ。ワインにおいても同じことだ。俺はワイン投資を奨めもしないしヤメロとも言いたくない。
という事で以下超富裕層を目指す俺自身だけのための方針である。
手短に言うとワイン投資は俺には効率が悪すぎるし管理も面倒だし信用できないしなぜヤルのか理解に苦しむ。ましてや人に奨めるなどという行為はとても恐ろしい。百歩譲ってワイン投資を奨められる人が世の中にいるならば、それはその分野で世界的に大成功した人物位だろう。自分の家にケチなワインセラーを持って少し位値が上がった程度のワイン愛好家は信用できない。
まず、効率に大問題がある。
例えば資金が1億円あるとして、それを全部ワインに投資するのは普通に考えたら無理がある。将来価値の出そうなワインを1億円探すのがまず大事(おおごと)だ。物理的に存在するとしても結局相当に有限だし、仮にそれを買い占めたとしても膨大な量になる。1億円なら出来るというかも知れないが、では10億円だったらどうか?超富裕層であればそれくらいワインに投資も有り得る。全部ワインを買うか?普通はそうならない。せいぜい株とかを主に買って残ったらダメ元でワインでも買っても良いか程度だ。とにかく俺から見ると投資の効率が悪すぎる。
また、管理に関しての面倒だ。
温度や湿度等を適切に保たないと品質に影響するかもしれないので、投資ならば余計に厳しく管理する必要がある。そうなるとどこにワインセラーを置くとしても停電のリスクを考える必要がある。停電に関連して、特に日本国では自然災害のリスクも考慮する必要がある。既知の通り日本国内ではどこに行っても山岳地帯は火山噴火や土砂崩れ、河川の近くは氾濫決壊、海岸の近くは高潮洪水津波、その他大雪猛暑大気汚染等など、キリがない。
しかも値上がりを見込むならば長期間保管の必要があるから災害や停電対応を何年何十年も、それも10分も切らさずにやる必要がある。マンションや普通の一戸建てこれが可能な人がどれだけいるのか。また、定期点検もワインが1000本あったとしてどれ位の時間を費やすのか。ワイン専門家ならまだしも投資家ならば時間の無駄に感じるだろう。
災害を逃れても盗難の危険もある。ワインというのは貴金属と違い堅固な金庫に入れておくという訳にはいかない。ワインセラー自体を要塞のようにできなければ、高価なものなのに警戒は薄くなってしまうかもしれない。ワイン専門の貸金庫みたいなのを使用するかもしれないが、費用は嵩むし最早手元に無いんだから金融投資と実態があまり変わらないんじゃないか。
あるいは引っ越しはどうか?大変な手間になるのは明白だし一本1億円のワインがあれば窃盗団の格好の強奪機会となってしまう。引っ越しには警備会社と契約が必要だ。でも警備会社をどれだけ信用できるか。それとも1箇所から動かず、ワインと心中して死ぬまで要塞ワインセラーの隣にいるのだろうか。それでも外出中は不安でしょうがない。価値が上がれば上がるほど、いずれ家族でさえ信用できなくなるかもしれない。
そして、それ程信用が無い。ワイン自体には愛好家等の需要があれば、また骨董品となって歴史的価値を見出す人達がいれば、値段は付くかもしれない。しかし「ワインで総資産額1兆円」とか「ワインで今年度富豪ランキング1位」とか聞いたことないだろう。超富裕層を目指すための投資対象としての信用度が薄い。これはクラシックカーとかスポーツカードとか何でもそうだがそれが生き甲斐の様な人たち、それが本当に好きな愛好家や専門家が値上がりも込みで収集するのは問題無いのだが、投資として考えるならばまして超富裕層を目指したいと考えるならばワインに頼ることはできない。ワイン投資というのはそこまでの蓄財のためには信用度が低い。
という事で、俺がもしワインが突然好きになって収集を始めたら核シェルターならぬワインシェルターを作ってそこに死ぬまで籠もる覚悟で毎日ワインを飲んで過ごす位の覚悟が前提だ。そうでなければ普通の地道な投資に熱中したい。どうだろうか。