米国下院議長選から老人民主主義への対抗策について考える。
今更だが、米国議会の下院議長選出投票で問題が起きている。
下院定員435の過半数218が必要で、wikipediaによると2022年の中間選挙の結果共和党勢力は222、民主党会派は212(欠員1)だから、単一会派で議長を選出するには共和党が造反4人以下に収めて選出する必要がある。ところが何回やっても共和党の10人前後が造反し、過半数に届かない。
超富裕層と一見関係無さそうであるが、現世の資産形成に於いて米国、米国経済を除外することはほぼ不可能、そして米国政治はその米国経済に影響力があるから、多少こじつけであるが米国政府の混乱を注視するのは超富裕層、そして超富裕層をめざす人々の嗜みであるとして、題材とする。
とはいっても、正直100年ぶりの異常事態で普段の生活に特段すぐに悪影響があるとも思えないから、報道するメディアも含めて野次馬的な見方が多いと思われる。
これを書いている現在でも決まっていないので、どうなるかの予想を含めて考えてみるのも米国を知るよい機会として、考えてみる。
まず、基本として、投資家としてはどちらが良いとか正しいとか、意見は無い。あったとしてもそんな事は各自で考えることであり偉そうにご宣託を述べてもしょうがない。考えがあるとすれば投資家として資産形成にどう影響するかが大切であるが、議長によってそう影響があるとも想像しにくいし、大きく違うとしてもそれを予測するのは至難の業だ。
だから個人の考えを素直に述べるとすれば、「今後〜になれば〜の方向になるだろう」みたいな意見を偉そうに書いたり述べたりしているメディアがあれば、それは信用しない、できれば読まない方が良いという事くらいだ。
それはいいとして、なぜ造反議員達は他の共和党議員が選んでいる候補に票を入れないのか?これが当然ながら一番の注目点だが、報道を見ても何が具体的に気に入らないのか、ハッキリしない。
どうもいわゆる「保守強硬派」とか「親トランプ議員集団」が造反勢力の核のようだが、他の共和党勢力とどう考えが合わないのか、イマイチ良く分からない。争点がそれほど明確でないというのは、造反勢力への理解度を低める作用がありそうだから好ましくないかもしれない。
だが、俺は彼ら彼女らの行動はとても合理的と考える。なぜなら、この膠着が解決する道は素人考えでは:
1)造反議員勢力が賛成できる議長を共和党勢力全体で選出する。
2)造反議員の政策的な要求を受け入れてその代わり造反勢力には共和党の統一候補に投票してもらう。
3)民主共和双方で妥協できる議長を選出する。造反議員の意見は無視する。
4)国民の造反勢力への批判が高まり、造反勢力が共和党多数派に同調する。
しかない。これ以外もあるかもしれないがとりあえず上記4つの亜流と考える。すると、3)、4)以外は、造反勢力の意見が少なくともある程度は通ることになるし、仮に通らない3)だったとしても造反議員が失うものがそれ程大きく無さそうだ。
ごく少数勢力なのに意見が通るか、通らなくてもそれほど損害が酷くない可能性が半分位ならば、その行動は一応合理的と言えるだろう。従って荒い予想だが、造反勢力はしばらく一歩も引かず膠着状態が続く。
造反勢力は高々20人程度で全体の5%位、これで大げさだが国政に影響力を行使しているのだから、少数派の「交渉力」「取り引き手法」としては参考になる。
これですぐ思いつくのが日本で良く嘆かれている老人民主主義だ。老人多いから老人の意見が通りそれ以外の意見が通らないという日本の問題だ。「老人」をどこからにするかにもよるが、「老人の敵対勢力」は5%より全然多い少数勢力だから、具体的にどうやるかは中々難しいが、今後「若年層」「老人以外」が意見を通すにはこの手法に多少は希望があるかもしれない。どうだろうか。