北米を横切った気球飛行物体について考える。
一凡人 求職中の素人視点なので、真に受けずに疑って読んでくれ。
今更だが、気球飛行物体が北米を横切って、問題となった。大西洋上に出たところで「撃墜」され、またアラスカでも何か見つかって、騒動は現在進行中だ。本日も時機として、これを題材とする。この投稿で書かれている様な事は他でも既出なのは承知だが、いつもの通り自分で考える事が重要として気にしない。
善悪や好き嫌いは別として、軍事力は米国に投資する立場としても重要な要素で、米国の優位性が米国社会の経済活動に有形無形の影響があるのは自明だから、投資家、超富裕層としては軍事度外視は愚行だ。軍事バランスが劇的に変われば、株価も大きく動く可能性がある。投資家としては分析対象を選り好みしている場合では無い。
巷で論議される物体の詳細、対策、外交問題等々は俺には是非は分からないので論じないが、「何らかの軍事目的」だったと仮定する。平和観測?目的なのに、あんなに都合よく仮想敵国を横切る「蓋然性」や、飛ばした方の過敏過激な反応を度外視しても、ほぼ世界中がそう考えている場合は、大体それが正解に近い。
先に結論を言うと、現職米国大統領として、気球撃墜は合理的だった。
第一に、潜在的な危機程度に対して、撃ち落とす事による余波、危険が比較的低い。
無人の気球とは言え実際何かは不明だから、確率は低くても被害があればそれが「甚大」な可能性がある。一方、そして当の所有者が「天候観測用」だと言っており、また無人の気球であるから撃ち落としたとしても死亡者は無く、武力と武力の衝突には少なくとも建前上ならない。
外交問題にはなるが、以下に述べるリスクと対比して小さい。実際は最初の方で落とした方が良かったとか、公にせず処理してしまうとか、撃ち落とさず確保すべしとか、超高性能戦闘機で仰々しくやらなくてもミサイルとかあるのではとか、遂行方法の違いは優劣あるかもしれないが、とにかく極端な軍事緊張が起こりにくい。
第二に、もし何もせずやり過ごすと、来る大統領選挙で共和党の候補に必ずその「弱腰姿勢」を付かれ、安全保障の議論で不利に立たされる。
現実に決断しなくても良い、共和党候補は「俺だったら必ず撃墜していた、何かあったらどうするんだ」と言い得だ(共和党の大統領だったら実際どうするかに関係なく、相手の不備を付く事ができる)。気球をやり過ごして一旦穏健国際関係を維持できる程度では、その損害(選挙の不利)が大き過ぎる。
また、実際に米国民へも弱気のメッセージを送る事になる。同時に「風船も落とさない平和的な印象」も付くが損得はどうだろう。勝手な想像だが「気球も落とせないのでは、爆撃機が来ても躊躇するかも」といった不安感情を増幅する可能性がある。また、民主党を中心とした左翼勢力は撃墜には消極的だったかもしれないが、あまり表立たないし報道もされない印象だ。
これも勝手な感想だが、米国では「弱気」が政敵や民衆に付け込まれ、日本ではおそらく同様な状況では撃墜が論議されると、その「強気」が左翼勢力を中心に強烈に付け込まれるだろう。国会前で撃墜反対平和デモが起こるかもしれない。どちらが望ましいかは誰にも分からない。
話を戻して、第三に、もし何もせずやり過ごすと、相手国に「なるほど、あいつら風船程度だとやり過ごすのだな。ではもっと数を飛ばしてみよう。並行して風船よりもう少し”軍事的機能”があるモノを飛ばしてみよう」と思われる。つまり足元を見られ、付け入る隙きを与え、大胆な行動の余裕を与え、相手国にはポイントをあげたと思われる。それを気球程度を撃ち墜として「一応」阻止できれば、やった方が見返りが多いと考えるのは無理がない。
南西諸島の大陸による敵対行動や、北の過激化してゆく一方のミサイル威嚇を見れば分かるが、何も対抗しないと「対立相手」はつけあがってドンドンやってくる。
また、日本を初めとした同盟国にも「やり過ごし平和処理」は影響がある。米国が何もしないとなると、日本は元々何も出来ないかもしれないが、同様の状況下でその圧力が余計に強くなる。他の西側諸国にも弱気圧力がかかる。それは仮想敵国には得になりそうだから、同盟国からみても総合的に見てあまり得とは思えない。つまり同盟主である米国にも得が殆ど無い。
という事で、処理はこれでほぼ良かったと思う。どうだろうか。