組織を引っ張る人間について考える。
今更であるが、世界的野球大会で祖国の代表チームが見事に優勝した。
スーパースター大谷翔平やその他メジャーリーガー達の活躍も素晴らしかったし、NPB所属選手の実力も見せつけた。
全勝優勝したので全ての選手が良かったと言えるが、例えば近藤選手はずっと2番で出塁も多く攻撃に貢献、守備でも堅実だったと思う。
彼は長年北海道の球団で活躍して、昨年のオフにフリーエージェントで福岡に移籍した。言うまでもないが、常にチーム勝利への貢献を考える、真剣に野球に取り組む「超プロフェッショナル」である。
その彼に昨シーズン密着した番組があって、その概要をネットで読んだ。概要は「昨年は、そもそも指示を出す監督が優勝を目指さないと放言していた事もあり、勝とうと思っていなかった、チームも典型的な弱さを露呈していた」という事だ。
勝利に全力を尽くすプロ野球選手の中でも超一流のはずの選手が、「勝つ気がなかった」というのは、有る意味衝撃的とも言える。プロにあるまじき姿勢だ。
なぜそんな事になったか?
究極本当の事は本人にしかわからない。リップサービスというか、極端に発言しただけかもしれない。だが全くの事実無根の捏造をしても誰得だからするはずがないと考えると、監督に原因が有ると考えるのが自然だ。
繰り返すが記事ではその旨発言している。
「典型的に弱いチーム。連勝して連敗する」「勝とうと思ってないんで何とも思わない」 監督については、勝ちを狙っておらず「言ってることを統一」している「監督に従うのが僕らの仕事」「コマにしかすぎないと思う」(週刊文春 2023年3月30日号の記事より引用)
そもそもチームの低迷は監督をはじめ首脳陣、球団経営陣に責任があるのは当然であるが、この発言を読むと監督の管理方針、指導姿勢、そしてそれを許していた球団経営陣が、近藤ほどの選手であっても、そのやる気を削いでいたと考えられる。チームを代表している選手がそうなのだから、他の選手にはもっと深刻な影響があっただろう。こう言っては何だが、最下位は当然の結果だった。
プロスポーツの何が人を惹きつけるのか意見は色々だろうが、主要な理由として「最高レベルの選手達が、本気になって勝利を目指して競ったり勝負したりしているのを観たいから」というのがあるだろう。
だからこそ、結果が出ないと、ヘタをすると「やる気のない選手」「勝つ気の無い選手」と見なされて、監督や球団やファンから見放されてしまう。あるいは、八百長等は厳しく処罰される。勝とうとしない競技出場者は、排除される。
NPBも当然そういう建前のはずだが、近藤の発言を読むと、どうも少なくとも昨年のこの北海道球団はそれに値しなかった。チーム一丸となって勝利を目指していなかった。プロスポーツの観戦者を裏切ったといっても良い。
この監督は奇抜な振る舞いや、上記のような放言が目立ち、マスコミはそれを面白がって?どんどん報道してファンも喜んでいたが、そんな様子では球団もNPB全体も永遠に本国レベルには遠い。MLBでこんな監督がいたら、すぐに更迭され、ファンも許容されず、選手にも受け入れられないと思う。
組織を率いる人間の言動というのは、非常に大切だという事が再認識された。今からでも遅くないから、球団は監督以下首脳陣を更迭、優勝日本一を可能性がある限りいかなる状況でも目指すと建前でも言い続ける人達に一新するべきだ。球団経営陣も即刻入れ替えるのが良策だ。
例え今年は違う目標としても、昨年からのシラケムードが一掃される保証はない。
「昨年は製品品質はどうでもよかったが、今年は世界一の製品を作る」という製造会社の経営者がいたら、俺はとても信用できない。同様に「昨年は優勝を一切目指さないが、今年は日本一を目指す」と言っている監督もすぐに辞めさせたほうが良い。どうだろうか。