MLBの試合興行哲学について考える。
今更であるが、野球は日米ともに王者を決める対決を残すのみとなり、特に米国の対戦は注目されている。そこで考えさせられるのは、日米の「日程」についての考え方?や哲学?の違いだ。
遡ること9月末、MLBではポストシーズン争いが激しかった。リーグ優勝が決まってもシード順もあるし、個人タイトルもあり、所謂「消化試合」はそれ程多くなかった。
話が逸れるが、NLのワイルドカードは熾烈な争いの末、最終日の「メッツ対ブレーブス」ダブルヘッダーの結果如何となった。1勝ずつなら両チームがポストシーズンへ進み、もしどちらかが2連敗すればそのチームは敗退し代わりに全日程を終えているDバックスが進出という状況であった。
当然1試合目で決めようと両チームは必死にやるが、最初勝った方は2戦目は力が抜けるのは仕方ないし、相手側はより必死になるから、1勝1敗になりやすく、すなわち2試合目は消化試合の様相が濃くなってしまう。実際両チームが1勝ずつとなった。もしDバックスがもう1試合最後に残していれば大いに盛り上がっただろうが、日程の影響で仕方ない。
話を戻して、ポストシーズンの仕組み上も、各チームの拮抗状態からも「消化試合」は多くなかったが、それでも数試合、最終日近くになってそのような「シード順などにも影響しない試合」が見込まれていた。その1つがアストロズ(以下、「HOU」)とガーディアンズ(以下、「CLE」と略)の最終戦である。
一応、CLEのラミレス選手の「40-40」にリーチ状態でそれなりに注目されていたが、なんとMLBは早々にこの試合を中止?して、つまり試合興行しなかった。その理由は第一にはもちろんレギュラーシーズンの結果に影響無いからだが、それと共にHOUにすぐに始まるワイルドカードシリーズがあり日程に余裕がなかったからであった。
俺はこれを知った時驚いてしまった。今までもあったことなのかもしれないが、レギュラーシーズンを1試合減らしてしまうとは…チケットを買っていた人も居ただろうし、ましてや上記の通り個人記録もあったのだ。そうは言っても、両チームも、またファンも、それほど騒ぎにはなっていなかったようだった。
とにかくそういう事で、HOUとCLEの今期の試合数は「161」となった。
ここで考えてしまった。
もし、大谷が例えば「50本塁打、49盗塁」とかだったとして、あと1試合だがドジャースの日程が非常にタイトでしかもシード順など全てもう決まっていたらとしたら、MLBはどうしたであろうか。
中止などにしたら、日本人ファンには大顰蹙だろうが、MLBは上記の通り、ラミレスの40-40は無視?して試合中止してしまったのだ。大谷だけ贔屓するわけにも行かないかもしれない。あるいは、もしそうなったらHOU対CLEも強行して辻褄を合わせたかもしれない。だがラミレスが仮にすでに達成済みだったとして、大谷だけに記録がかかっていたとしたらどうだっただろうか。
歴史の「もし」は考えても仕方がないが、もしそのような状況ならば、MLBは、今後2重基準と言われようが、俺は試合を強行したと思う。というか、もともと162試合が前提なわけだから、試合をする方が自然だ。だが今回の事例によって、少なくとも一部のファンにはモヤモヤとしたものが残ってしまったとも言えるだろう。
大谷については、また少し遡って、以下のような事もあった。
御存知の通り早々に50-50は達成されたが、達成場所はフロリダであった。マリーンズ戦で彼は打ちまくり走りまくりあっという間にリーチがかかった。マーリンズ戦最終戦の後はLAに戻っての試合だったため、その放送ではしきりに「ロバーツ監督は最後大谷を休ませて、ホームで記録達成を目指すのではないか」と議論されていた。
まだシード順など確定前であったためチームを優先すれば出場は当然であるが、ずっと出場していた選手に適度に休養を取らせるのも自然であるため、もし1、2試合休んでリーチ状態でLAに戻ったとしても、それ程非難はなかっただろう。それに加え、興行を考えたら、LAで達成すれば盛り上がりも段違いだし、ビジネスで考えて得が大きそうだ。
どちらの件も、どのような結果でも俺個人ではどっちが良いとか、こうすべきとか意見は無い。だが、1つ言えるのはMLBは162試合もあるのに無理矢理にでも、ダブルヘッダーを多用してでも、1試合減らしてでも、9月にレギュラーシーズンを終わらせすぐに10月のポストシーズンを予定通りに隙間無く興行強行?しようとする。全体としては当然そろばんを弾いた結果であるが日程がそれ程空かないのは良いことだ。引き分けがあるし試合数も少ないのに空き日程だらけのNPBよりは良いだろう。どうだろうか。