工場の誘致について考える。
突然だが、昨年末に購入したThinkPadのページを何となしに、久しぶりに見てみたら、値段はそう変化がないが、「出荷まで1、2週間」となっていた。仮に本当にその程度だとして、俺の購入時よりはずいぶんと迅速になった印象だ。当時は3、4ヶ月の表示だった。そしてそれが頻繁に表示上で変わり、買うコチラの方も困るのだが、売り手側も相当に混乱している感じだった。最早そのような事は現状、無さそうだ。
ノートパソコン買い替えについて再考する
本当の理由は何だかわからないが、感染症による物流の影響と、特に半導体の世界的な不足によるあらゆるIT機器の製造遅れが当時実しやかに報道されていたので、その影響もあっただろう。だとしたら、最近は随分半導体の製造が元の量と速度に戻ってきたのだろうか。
世界の半導体の統計ではWSTSという組織がよく参照されるらしいが、「額」で言えば21年、22年と大きく伸びている。「額」が供給量とどう関係するのかイマイチ不明だが…まあ、「額面通り」取ったら供給も安定してきたとなる。ThinkPadの「比較的迅速な」出荷時期も頷ける。
ところで、昨日、報道によると、デンソーが熊本のTSMCの工場に出資するというニュースがあった。ソニーがすでに570億円、デンソーが400億円、TSMCが最大2400億円、日本政府も4000億円出すということだ。
ソニーやデンソーは当然、ましてやTSMCといえば半導体製造では世界一、この工場に関連してくるのは世界的な大企業や大資本ばかりだ。そこに日本政府が税金が原資である4000億円を投資する。
しかし、普段「大手企業批判」とか「資本家の陰謀」とか「不当な大企業優遇」とか行っている人達やその主張が盛り上がらないのは、俺の気のせいだろうか。あるいはその様な主張の方々も、TSMC熊本工場は特別扱いなのだろうか。わからない。多少二枚舌の腐臭がするが、それは良いとしよう。
また、そのような「大資本批判」以外の視点でも、半導体の専門家の何人かはこの優遇や投資を疑問視しているようだ。専門家以外でも掲示板関連の著名人もその旨発言していた。もちろん賛成論者もいる。主張を読むと俺から見たら「双方ご尤も」で、正しく見えてしまう。俺は半導体の専門家でもないし、この件の是非はよくわからない。
だが、素人考えになるがやはり工場をぜひ誘致した方が良いと思う。
それはなぜか。
単純に雇用だ。
報道によると、また人材募集の動向によると、1500人が雇用される。
給料や社会保証等で合弁会社が1人当たり年1000万円使うとすると、1500人で150億円だ。これが周辺地域等に乗数理論で消費伝播して、都合の良い予測かも知れないが5倍になるとする。すると750億円の経済効果だ。6年くらいで元が取れる。TSMCもドライだからダメならいつ撤退するか分からないが、初期の投資もあるし6年位は我慢するだろう。
しかもこれは消費だけの計算で、実際は1500人の半導体製造への熟練度や安定した日本企業への半導体供給の貢献度は度外視してだ。
また、将来的な禍根?としてこうも考えられる。
今回のTSMC工場が反対圧力によりポシャったとして、では今後、どのような条件ならば世界の優良企業が日本に何らかの形で投資したり、工場や事業所を作ろうと思ってくれるだろうか。
日本は人件費もまだそれなりに、相対的に高いし、正社員の流動性は相対的に非常に低いし、人口減で国内の市場は縮小気味、もちろん教育が行き届いているとか治安がいいとか良いところもあるだろうが、総じて他の投資先になりやすい国々と比べて負けているから、どの会社もあまり出て来ない。だから今回も日本の企業や政府が金を出して歩み寄り地点が合致する。もし今回TSMCがダメなら、他にできそうな会社はそうは無いだろう。どうだろうか。