不意に出てきたいくつかの太平洋戦争当時の日本関連の言葉について考える。
今更だが、ウクライナの大統領が米国議会議員の前でオンライン・リモート演説した。彼が1941年12月の真珠湾攻撃を引き合いに出したので、一層話題となっている。また、報道によると日本の議会でも演説を打診したそうで、その対応に文字通り右往左往、野党最大会派と日本共◯党が難色を示したりして、大騒ぎになっている。演説くらいそれ程問題無さそうだし、そもそも断った方が問題が大きくなると思うが、もし事前に内容を協議するとしたら、真珠湾についての扱いがどうなるか、そちらの方が変に注目されてしまいそうだ。
また、演説に前後して、米国大統領が、ロシア大統領を「戦争犯罪人(War Criminal)」だと言って、米国の報道でも話題になっている。ところで「戦争犯罪人」の定義はいくつかあると思うが、狭義では何らかの裁判的なモノを経る必要があるので、ロシア大統領がそのような裁判に被告人として駆り出されることは今のところ無さそうだから、「戦争犯罪人」と言ったところで「バカ野郎」と罵るのと大して変わりはない。だが結構米国では「大統領がついに一歩踏み込んでロシア大統領について発言した」と大ニュースになっているから、それなりに今後影響があるかもしれない。わからない。ちなみに「戦争犯罪人」をネットで検索すると、当然だが太平洋戦争を経た極東軍事裁判(東京裁判)で裁かれた日本人がたくさん出てくる。軍事裁判を経るから、戦敗国の人間が多くなるのはしょうがない。その意味でも今回の戦争犯罪が裁かれる日が来るのか疑問だ。
そして、演説を受けて、米国政府が追加の武器の援助等の対策を発表した。なかでも注目されるのが、「Switchblade Drones」という、ドローンの「AeroVironment(エアロヴァイロンメント)社」が製造する「Kamikaze Drone(カミカゼ ドローン)」といわれる、携帯型の無人飛行・攻撃機だ。数百機送るという事だ。そして各局のニュースでもその兵器を詳しく紹介している。要約するとSwitchblade 300は重さ5ポンドで1人で携帯でき、兵士や軽装甲車両などを攻撃できる程度の爆薬を搭載し、飛行距離約10kmのドローン。新型で機密事項?のSwitchblade 600が少し重くて軽車両で運搬するが装甲車や戦車等を攻撃でき、50マイル(80キロ)の飛行距離、カメラやセンサーやGPSを搭載し、標的座標をプログラムして発射もできる。双方自爆攻撃が売りだから、「Kamikaze」という通称でも呼ばれる。Switchblade 300は大々的に動画で宣伝しており、また映画などで使用シーンがよくある様だが、改めてこのような近未来兵器がガンガン戦場で使用されているのかと、考えさせられる。
とにかく恐ろしい武器だが、今まではその破壊性から送るのを躊躇していたそうだ。Switchblade 300はアフガニスタンの陸上戦でも使用された。このような殺傷機器、武器の紹介がニュースであっけらかんと論じられるのはやはり米国ならではだ。「ロシアの戦車隊列、テレビでよく出てくるだろう?Switchbladeで大ダメージを与えられるよ」などと明るく話す、日本人から見ると武器礼賛にも聞こえてしまう軍事に詳しい記者が出てくるのが、米国のテレビだ。しかし、こんな武器を送ろうというのに、時代遅れのミグを送るのを躊躇するというのも変な話だが、なぜかそこが双方こだわりの自重点らしい。
という事で、ウクライナ情勢から、「真珠湾攻撃」、「戦争犯罪人」、「Kamikaze(神風)」等の、日本の近代史、歴史上の事柄は、世界ではまだまだついこないだの出来事同然なのだと、妙に納得させられた。どうだろうか。