日本の個人金融資産について考える。
唐突だが、日銀は「資金循環統計」という仰々しい?名称の統計調査を公開しているらしい。最近、最新の統計が公表されたので、せっかくだから本日はこれを題材とする。
「らしい」というのは、俺はこのような小難しそうな統計は知らなかった。だが時折「日本の家計金融資産が何千兆円」という報道は見聞きすることはあった。その出どころはこの「資金循環統計」らしい。4半期ごとに作成され、3ヶ月後に速報、6ヶ月後に確報が公表されるとのことだ。低俗推測だが、3ヶ月も経って公表するのが「速報」というのは、如何にも日本的な気もするが、諸外国でもこんなものなのかもしれない。わからない。
面倒だが投稿を書くには少しは読まねばならないという事で見てみた。詳細な評価、総合的分析は様々な場所や色々な専門家がやるとして、素人目線でも気になったのが1つあるので紹介しよう。
それは、遂に2000兆円を超えた個人金融資産のうちの、半分が現預金だと言うことだ。別に今回そうなったとか言うわけではなく、改めてわかりやすくそうなったという感じだ。つまり個人金融資産2000兆円、そのうち1000兆円の現預金ということだ。感染症で倹約したりというのも原因らしい。
1000兆円の現預金。
大部分は銀行預金としても、昨今は銀行も貸出先に困る状況である。そもそも銀行金利がほぼゼロという事は銀行の方も貸し出してもそれほど殖やせないということだとしたら、結局国内の現預金は多くが死に金となっている可能性がある。
金を集めてもうまく運用できないのは銀行、特に邦銀の事業能力が劣るということでしょうがない?としても、現在、日本はインフレーション、つまり「通貨の価値が下がる」状態に突入したか、少なくとも突入しそうな徴候があるようだから、他人事ながら心配になってしまう。今後インフレがどうなるかわからないが、それが持続中は1000兆円は使われなくて塩漬けになるだけならまだしも、実質的な価値が下がっていくのは、現預金の所有者としても由々しき事態だ。
ところで、米国も同様にインフレになっている。先日、そのうちの1つの指標である米国のガソリン価格について投稿した。
唐突…でもないが、ガソリンの値段が日米、その他で上がっている。至る所で、様々な理由で、物価が上がっており、その代表的な指標がガソリンだ。特に米国では重要視される。日本ではガソリンの値段上昇もよくニュースになるが、同じくらいかそれ以上に、食料品の値上げ(または有名外食チェーンの値段なども)が報道される。カップラーメンとか、お菓子とか、あるいはそれらに影響する小麦等、様々な食料品が重要視される。米国に比べて日本は食料輸入への依存度が大きく、また都市部などでは車を所有していない人も多いから、まだまだ全国的には圧倒的にガソリンエンジンの車に支えられて生活している住民の多い米国でガソリンが重要視されるのは自然だ。
投稿後、小康状態にあるが、高止まりしていることは確かだ。
米国もインフレ状態だとして、では家計の金融資産はどうなっているのか。
これも「資金循環の日米欧比較」という日銀の統計があったので見てみると、米国は現金が13.3%、株式が37.8%だ(その統計では日本だと現金54.3%、株式10%)。欧州はどちらもその中間くらいだ。
つまり、米国の家計における現預金の割合は日本の4分の1だ。
相対的にだが、日本が過度に現金偏重だといえるだろう。但し、今に始まったことではない様で、日本は一貫して家計金融資産の半分ほどが現預金相当だった。ついでにいうと1000兆円の現預金も今回の統計からでなく、暫く前からそうだ。
しかし、超低金利物価上昇ほぼゼロを続けてきたここ何年と、最近は違う様相を見せている。今後現金偏重が吉と出るか凶と出るか誰にも分からないが、1000兆円のうち半分位は株式投資等に回っても害は無さそうだと多くの人が思うのではないだろうか。