個人金融資産統計の内の「現金」について考える。
今更だが、東北地方、太平洋沿岸で大きい地震が数回起きた。
今後どうなるかわからないが、自宅の災害の備えについて再確認するよい機会となり得る。そこで、昨日の「個人金融資産」に関連し、現金をどれくらい自宅に持っておくべきか?について考える。
唐突だが、日銀は「資金循環統計」という仰々しい?名称の統計調査を公開しているらしい。最近、最新の統計が公表されたので、せっかくだから本日はこれを題材とする。「らしい」というのは、俺はこのような小難しそうな統計は知らなかった。だが時折「日本の家計金融資産が何千兆円」という報道は見聞きすることはあった。その出どころはこの「資金循環統計」らしい。4半期ごとに作成され、3ヶ月後に速報、6ヶ月後に確報が公表されるとのことだ。低俗推測だが、3ヶ月も経って公表するのが「速報」というのは、如何にも日本的な気もするが、諸外国でもこんなものなのかもしれない。わからない。
昨日の要旨は、1000兆円の現預金は諸外国と比べ、特に欧米と比べて資産内比率(約半分)が突出しており、多少は現預金以外、特に株式投資などに回った方が良いかもしれないという考察であった。
この「現預金」の内、「現金」が大まかに1割程あるというのだ。つまり100兆円だ。そしてよくある記事ではこれを「タンス預金」としてネタにしている。
100兆円現金を自宅に持っているとして、大まかに日本は5000万世帯とすると、1世帯当たり200万円だ。平均額は実態と多少かけ離れているにしても、半分として100万円、こんな大金を自宅に持っておくだろうか。せいぜい多くが10万円位じゃないのか。そもそもこの現金統計は何か間違っているんじゃないのか、と思ってしまう。それとも、感染症の現金給付と自宅待機などで、皆一層自宅現金の量を増やしたのだろうか。
また、タンス預金と決めつけるのも変だ。時代錯誤になりつつある。なぜなら、まだタンスが結構な世帯で所有されているにしても、昔のような大きめは少なくなっているだろうし、そもそも10万とか20万とか、わざわざタンスに入れる必要あるだろうか。10万円、持っとくなら普通は財布の中だろう。あるいは、せいぜい机とか台の引き出しかなんかだろう。
タンス預金の目的は色々だろうが、大多数はイザという時にすぐ使えるよう、一応持っておくといった目的だとしたら、そもそも、タンスに入れておくのは非合理的だ。イザという時といえば、冒頭の地震であるが、地震で怖い物の1つがタンスだ。一旦揺れが収まったからと言って、また来たら凶器にもなる家具にイザという時の現金を入れておくのは危険すぎないだろうか。10万円位だとしたら、財布に入れてすぐ手に取れる様にしておくのが無難だ。
金額にしても、例えば上記統計の額面通り多くの世帯で200万円としたら、インフレを考えなくても、合理的とは言えない。なぜなら200万円を保管する場所にまず手間取ってしまう。そして、それ故にイザという時に持ち出すのが困難だ。タンスに入れないとしても、200万円となると、財布には入らない。その辺に放置しておくというわけにもいかない。持ち出すのも困難、持ち出せたとしても重い、緊急時に必要な現金としては多すぎるし、その重さを持ち運ぶなら、緊急時は水や食料などの物資のほうが価値が高くなる可能性がある。そして一番大切なのは200万円を持ち出すために危険な目に遭う可能性がある。
従って、結論としては、「イザという時」の現金としては、少しの金額を避難カバンに忍ばせておくくらいで充分、普段遣いの現金にしても10万円をサイフに入れておくくらいで大丈夫じゃないか。地震や災害の経験者も多い日本では、多くの人が分かっているんじゃないだろうか。だから逆説的に、現金100兆円というのはシックリこない。それこそ一握りの金持ちがでかい金庫かなんかに沢山持っているだけなんじゃないか。どうだろうか。