オークランド・アスレチックス (以下、「A's」と略)について考える。
今更だが、球団創設から120年以上、ワールドチャンピオンも9回というメジャーリーグの名門球団、A's がラスベガスの球場完成・開業までの仮本拠地として、サクラメントのとある3Aの球場を使用することになった。驚いてしまった。
ちなみにどうでもいいが、俺はMLBの試合をよく観ているが、A'sのファンという訳ではない。しかし多くの日本人もそうかもしれないが、俺としてはオークランドと言ったらA's、A'sといったらオークランド、とにかく印象が一体化している。
ベガス移転も、そして今回の早めのオークランド撤退も、残念といえば残念だ。「ラスベガス・アスレチックス」というゴロにも慣れる日が、いつか来るのだろうか。
今回の顛末だが、どうもオークランド市(以下、「市」と略)とA'sとの、現本拠地であるオークランド・コロシアム(以下、「コロシアム」と略)の使用契約交渉が、移転までの3年間だけでさえも纏まらずに、結局サクラメントに一時移転になったらしい。
コロシアムは元々、A'sが効率的な球団経営を目指したのか買い取り交渉も数年前あって、それもまとまらなかった。また、少し離れた地域に新スタジアムを作ってそこを本拠地にという動きもあったが、地元住民の反対等によって頓挫した。
それにしても、傍から見ると誰得状態の交渉結果だ。
まず、A'sとしても、ベガス移転まで3年間しかないのに、そして何十年も使用している何万人も収容できる一応メジャーレベルの球場があるのに、何が悲しくて「縁もゆかりも無いサクラメント」の、それもメジャーレベルとはとても言えない、こういっては何だが「しょぼい球場」で試合興行しないといけないのか。
また、市としても、A'sが居なくなると巨大コロシアムの使用チームが無くなり、まだ使えるのに管理費だけかかってしまう。廃墟にならないよう、撤去するにも巨額の費用がかかる。破格でも3年間使わせて、少しでも得を目指せないのか。
低俗推測だが、リニアの様に、双方にとって相当感情的要素が入っていた可能性が高い。
まずオーナー側はとにかく「この地域」が、あまり市場として充分でないとか、何かの理由で嫌だった。つまり来年から3年でも、こっちが我慢して居続けるなら、コロシアムをタダ同然で使用できれば居てやっても良いが、そうでなければ出て行くぞ?といった感じか。
そして市側も、税金が元だから「端金」で貸し出す訳にも行かないし、居てやっても良いみたいな態度が気に食わない、イヤならどこへでも行ってみろ。どうせ近隣にはしょぼい球場しかないのに出ていけるのか?と思っていたかもしれない。
とは双方言わないが、内心そうであったとでも想像しないと、今回の顛末はとても合理的とは言えない。
オークランドは数年前にのレイダース、ウォーリアーズにも出ていかれてしまい、つい最近まではMLB、NFL、NBAの一流チームが集結するスポーツ都市だったのに、恐ろしい凋落具合だ。俺はよくしらないが何か理由なのか。とにかく自治体としては著しい失政であることは確実だ。
一体どうすれば良かったのか。
自治体、住民とのままならない交渉という意味で、少々こじつけ染みているが、「リニアと同じ構造」だ。つまり双方の「出口戦略」の条件、方向性等が明らかでないままに感情的?に交渉が行われたという印象だ。双方、妥協できる条件を細かく決めておかないとこうなってしまう。わからんけど。
一番迷惑なのはA'sのファンである。長年全米のMLBチームが年一度はここへ来て試合をしていた。エンジェルスも、ジャイアンツも、ヤンキースも、昨年のチャンピオンレンジャースも、ドジャースも、観戦できるのは今年が最後だ。
という事で、ファン、A's、市、三方大損状態だ。お互いの主権が侵されているわけではないから、交渉に感情的要素が侵入しすぎると、良い事はない。妥協が大切だ。でないとリニア同様互いに「ハンターイ」と連呼して非生産的に誰得結果に終わる。どうだろうか。